研究者たちは、3Dバイオプリントの全サイクルを実行し、生きた人間の組織の人工類似体である生物学的に同等の組織をつくった。
はじめに研究者らは、脂肪組織と歯肉粘膜から2種類のヒト間葉系幹細胞(MSC)を採取し、3Dプリンターでビルディングブロックとして使用されるスフェロイド(球状の細胞集合体)を作製した。同時に学者らは、特別な方法で3Dプリンター用のバイオインクも準備した。
研究の過程で、バイオプリンターを使って印刷された同等の組織造形物は高い機能性を示し、多くの利点を有することが明らかとなった。また研究者らは、作製される同等の組織造形物の特性はもとになる細胞に依存するため、最初にバイオプリントに適した材料を選ぶことが重要だと結論付けた。歯肉間葉系幹細胞は、血管や骨をつくるのに適しており、脂肪組織から作製したMSCは、皮膚インプラントをつくるのに適しているという。
研究者らは研究の過程で、皮膚と同等の完全に機能する生体組織の造形物を作製した。将来的に、既存の治療法では再生が難しい糖尿病性潰瘍や静脈性潰瘍、慢性創傷、火傷などの治療に使用することが可能だという。また、そのような生物学的に同等の造形物をつくることで動物実験が減り、再生医療技術がより倫理的になるとされる。
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