ウクライナでの露特別軍事作戦

へルソン・カホフカ水力発電所の破壊 現時点での状況

ヘルソン州にあるカホフカ水力発電所がウクライナ軍の砲撃を受け破壊されたものの、貯水池のダム自体は崩壊していない。現地ノーヴァヤ・カホフカ市のウラジーミル・レオンティエフ市長が、スプートニクに明らかにした。
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レオンティエフ氏によると、水門扉が設置されている発電所の上部が破壊されるなど、現場では深刻な被害が発生したという。

現時点で判明していること

水力発電所が位置するノーヴァヤ・カホフカの市長は、「ウクライナ軍からの攻撃でカホフカ水力発電所の上部が破壊された」と発表
ノーヴァヤ・カホフカでは最大10メートル、周辺のドネプリャヌィでは最大8メートル、コルスンカでも最大5.3メートル、水位が上昇する恐れがある。水位の上昇は約72時間続くとみられる
へルソン州行政トップは「22000人が住む周辺14地区が浸水する恐れがある」と警告している
ウクライナ側の統制下にある8地域でも浸水被害が起こっており、へルソン市からの避難列車が現地時間6日正午(日本時間同日午後6時)に出発する
露原子力企業「ロスアトム」は、「現時点でザポロジエ(ザポリージャ)原発の安全性への影響はなく、職員が状況をコントロールしている」と発表している
国際原子力機関(IAEA)は状況を注意深く監視しているが、現時点では原子力の安全に対する直接的な脅威は存在しないとしている
ウクライナ首相は、80地区に浸水の恐れがあり、住民の避難を進めるとしている
また、ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は次のようにコメントしている。

「カホフカ水力発電所の破壊に関して、ロシアは自国に向けられた非難を断固として否定する。これはウクライナによる故意の破壊工作であり、全ての責任はウクライナ政権にある」

一方、ショイグ露国防相も水力発電所の破壊に言及し、ウクライナ側の攻撃をテロ行為だと強く批判した。
「前線地域でのロシア軍の前進を食い止めるため、ウクライナ側が破壊工作、事実上のテロ行為を行い、広大な土地の浸水を招いた。これは長きにわたって環境に深刻な影響を与えるものである」

本物の化学爆弾

環境学者であるモスクワ大学のアレクセイ・メドベドコフ准教授はスプートニクに対し、カホフカ貯水池の水が完全に流れ出してしまうと、約70年かけて蓄積された底の堆積物が露出し、その後塵となって空中に舞う恐れがあると語った。
メドベドコフ氏によると、この堆積物は廃水とともに貯水池に流れ込んできたもので、重金属、石油製品、農薬、放射性核種、その他の有害物質が含まれている。そのため同氏は、「これは本物の化学爆弾なのだ」と説明している。
カホフカ水力発電所は、ヘルソン州の都市ノーヴァヤ・カホフカから5キロメートル離れたドニエプル川沿いに位置している。同発電所の稼働が始まったのは1950年代。クリミアに水を供給する北クリミア運河の起点でもある。
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