パトルシェフ書紀はベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領と集団安全保障条約(CSTO)加盟国の安全保障会議書紀らとの会合に出席するため、ミンスクを訪問。会合の後の記者対応のなかで、特殊軍事作戦開始から間もない2022年3月にトルコで行われたロシアとウクライナの交渉の経緯を明かした。
「ウクライナの指導部はロシアとの平和条約の準備ができており、我々が大方受け入れ可能な案を文書として示しさえしていた。だが、朝の交渉でウクライナ側が案を出してきたのに、夜になって『いや、やっぱり拒否だ』と態度を一変させた。これは米国が彼らに圧力をかけ、いかなる交渉もしないよう言ったからだ」
また、パトルシェフ書紀は、米国や英国はウクライナ紛争の長期化に利益を見出していると指摘した。
交渉の試み
2022年3月初旬、ベラルーシで特殊軍事作戦開始から初めてのロシア・ウクライナの交渉が行われた。だが、目立った成果は出せなかった。
その後、3月29日にはトルコ・イスタンブールで次のラウンドが開かれた。ロシア側の代表を務めたメディンスキー大統領補佐官は、将来の合意の大枠となりうる草案をウクライナ側が初めて提示してきたと表明。草案にはウクライナの中立、軍事ブロックに属さない義務や、外国の兵器や軍部隊を配備しないことが含まれていた。ロシア軍はキエフ(キーウ)近郊などウクライナ北部から軍隊を撤退させたが、その後すぐに交渉は決裂。10月にはウクライナのゼレンスキー大統領が、ロシアのプーチン大統領との交渉は不可能だとする大統領令に署名している。
現在、ロシアは紛争解決に関するいかなる真剣な提案も検討する姿勢を示している。一方、ウクライナ側はゼレンスキー大統領が昨年11月にG20サミットで発表した10項目からなる「和平のフォーミュラ」に固執している。ロシアはこの案は非現実的な幻想で、和平には程遠いものだと指摘している。
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