宇宙政策研究所のイヴァン・モイセーエフ所長は、日本は高度の光学・レーダー偵察衛星を有しており、前々から米国との協力でこれを用いているとして、次のように語っている。
「構想が作られたのは北朝鮮とそのミサイルプログラムの実現状況を監視し、次に中国を監視するのが第一の目的です。日本が最初に作った宇宙における防衛構想は実際は米国の構想に類似しています。日本が独自のルールの指定した中には、他国の衛星の抑制、破壊が含まれる可能性もあります。
ですが、そうした行為は『開戦事由』です。なぜなら国際法上、衛星は打ち上げた国の主権領土とみなされるからです。つまり、衛星への攻撃は、法的にはその国への攻撃に等しいわけです」
モイセーエフ氏は米国とその同盟国は日本も含め、過去数十年間にわたって人工衛星に有効に作用する、あらゆる方法を積極的に検証してきたと指摘している。
「この分野で行われている作業は次第に軍事ドクトリンの領域へ移行しつつあるものです。あとはいつ、どのような状況でそのルールが適用できるかを決めるだけです。なぜなら、通信障害をおこす、その他、人工衛星を妨害するいかなる試みも衛星に作用する『攻撃手段』とみなされてしまうからです。
これまで、衛星通信やナビゲーションの妨害は地上でのみ適用されており、特定の状況下では許されてきましたが、宇宙空間で衛星を妨害することは、これからは国際法違反となるわけです」
ところが日本は宇宙安全保障構想の中で、自国には米国とともに独自の宇宙のルールを樹立する権利があると宣言してしまっている。これには他国のマネージメントと情報通信への妨害も含まれる。
宇宙空間での競争の危険性についてはモイセーエフ氏は、国際的な緊張や軍事紛争の条件下で一番の先鋭化する問題だとみなしている。これは宇宙空間での攻撃兵器配備を全面的に禁止する話であり、それには人工衛星も入る。
「宇宙を利用した防衛システムは、大きく2つに分類されます。1つ目は、通信や偵察に必要な(情報を)提供する衛星で、例えば、ミサイル警報システムなどがそれです。
もう一つは、他の衛星を破壊するための対衛星攻撃型衛星です。でも、実験の結果、対衛星が標的の破壊に成功した場合、破片の雲が発生することが判明しました。これは、他の衛星に深刻な脅威を与えるため、絶対に容認できません」
だからこそ、ロシアと中国は国連の会合で、宇宙での攻撃兵器配備の禁止を共同提案をしたのだが、米国をはじめほとんどの国が支持しなかった。
関連記事: