日本側は処理水の海洋放出が最も安全な方法であり、さらに通常の原発からの排水よりも放射能濃度が低い値であると主張しているとしたうえで、ザハロワ報道官は次のように述べている。
「残念ながら、これまでの日本の原子力安全分野での実績を考慮すると、東京(編集:日本政府)を言葉通りに信用することはできない。東京電力はこれまで、安全に関わる情報を幾度もなく隠蔽し、嘘のデータを公表してきた。国際原子力機関(IAEA)や国際社会に日本が渡した証拠の質にも疑問が残る」
ザハロワ報道官は、「放射線の脅威をもたらす可能性のある行動」について透明性と真実性のある情報提供を日本側に求めるとした。また、日本が必要に応じて放出が実施される海域での放射線モニタリングに同意し、処理水のサンプルへのアクセスを制限しないように願うともつけ加えた。
これまでもザハロワ報道官は処理水の放出について、「我々は日本政府を非難しているのではなく、十分な透明性を示すよう求めている」と述べていた。ロシアの懸念は、データを出す日本政府や東電の主張、安全管理体制の信用度に重点が置かれており、安全性の科学的な根拠を頭ごなしに否定しているわけではない。
今月4日、国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシ事務局長が来日し、処理水放出計画は「国際的な安全基準と一致し、人や環境への影響はごくわずか」と評価した報告書を岸田文雄首相に手渡した。
これまでに韓国政府はIAEAの評価に理解を示しているが、中国は報告書が「海洋放出への通行証とはならない」と強く反発している。一方、日本の松野博一官房長官は6日の会見で、処理水に含まれるトリチウムの年間放出量は、中韓両国を含む海外の多くの原発に比べて低い水準だと指摘した。
スプートニクは海洋放出が日本の水産業にもたらす影響について、当事者である業界関係者に話を聞いた。
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