【解説】各国の日本産食品の輸入規制 原発処理水放出でどうなる?
2023年7月3日, 20:03 (更新: 2023年7月3日, 22:45)
© AFP 2023 / Kazuhiro Nogi福島第一原発

© AFP 2023 / Kazuhiro Nogi
東京電力福島第一原子力発電所からの処理水放出をめぐり、国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシ事務局長は、4日に来日して安全性を評価する報告書の内容を政府に説明する。現在、福島県産を含む日本産食品の輸入規制には各国によって違いがあるが、今夏にも始まるとされる処理水放出はどのような影響を及ぼすのだろうか。
今も続く輸入規制
福島県や農林水産省によると、日本産の食品の輸入を規制しているのは12カ国・地域となっている。最も厳しいのは中国で、関東産や東北産の食品を広く輸入禁止にしているほか、その他の地域からの食品にも放射性濃度の検査証明を義務付けている。香港やマカオも福島県産の全食品の輸入禁止を続けている。
また、韓国や台湾も一部の福島県産食品の輸入を禁止。また、欧州連合(EU)加盟各国やロシアなども検査証明書の提出を義務付けている。また、米国や英国、カナダ、インドネシア、マレーシアなど43カ国は、福島第一原発事故の後に輸入規制を実施したが、すでに解除している。
☢️原発処理水 トンネル工事が完了#福島第一原発 から出る #処理水 の海洋放出をめぐり、東京電力が昨年8月から行っていた全長約1030mの排出用トンネルの工事が終わった。26日、日本の各メディアが伝えた。今後、原子力規制委員会や国際原子力機関(#IAEA)の評価を踏まえ、具体的な時期を判断する。 pic.twitter.com/f9Hk1CsBra
— Sputnik 日本 (@sputnik_jp) June 26, 2023
各国でわかれる対応
聯合ニュースによると、韓国の政府・与党は3日、処理水放出に関する懇談会を開いた。そこではIAEAが安全性を認めたとしても、「国民が安心できるまで」は福島県産水産物の輸入禁止措置を続ける方針が示された。
一方、EUは処理水放出を前にして規制撤廃に動いている。これまでの各メディアの報道によると、EUは先月末から規制を完全撤廃する方向で最終調整を進めており、実現すれば福島県産の魚やキノコ類などの検査証明が不要になる。
野村農林水産相は3日、来日したEUのヤヌシュ・ヴォイチェホフスキ農相(農業担当欧州委員)と会談。EUの日本産食品に対する輸入規制の早期撤廃に向けた協力を要請した。
福島第1原発を巡っては5月末~6月初めにかけてIAEAの調査団が来日した。スプートニク通信はこれまでに、放出を懸念する国内外の声や専門家の意見をまとめた。
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