西側諸国によるウクライナへの兵器供与

【解説】米国のクラスター爆弾供与で分かっていること 専門家「ウクライナはすでに使用している」

米各メディアは、バイデン政権が近く殺傷能力の高いクラスター爆弾をウクライナに供与する見込みだと報じた。7日にも正式に発表されるとみられている。クラスター爆弾の危険性は何にあるのか。スプートニクは専門家の意見を交えまとめた。
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クラスター爆弾とは

クラスター爆弾とは、容器となる大型の母弾の中に複数の子弾を搭載した弾薬。広範囲に高密度の爆弾の雨を降らせることができ、殺傷能力が高いことで知られている。タイプによって異なるが、1発でサッカー場4面半分の面積に70個以上の爆弾を散開させられるとのデータもある。
加えて、不発弾の割合が大きく、使用後数十年に渡って民間人に危険を及ぼす。人道的懸念から日本や英仏など一部諸国はクラスター爆弾の使用や製造を禁止する条約を締結している(米国、ロシア、ウクライナはいずれも不参加)。
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不発弾率は

米紙「ワシントン・ポスト」は、米国が155ミリ榴弾砲用のクラスター爆弾「M864」をウクライナに供与する見込みだと報じている。
米国防総省のパトリック・ライダー報道官は6日の会見で、供与を検討中のクラスター爆弾について「不発弾率が2.35パーセント以上の旧式のものは含まない」と説明している。M864の不発弾率は、2020年の実験データでは2.35パーセントを超えなかったとされている。
だが、記者から「2010、2019年の米歳出法では不発弾率が1パーセントを超えるクラスター爆弾のいかなる外国への供与も禁じられている」と指摘されると、「正式決定すればその点も含め詳細を発表する。実験のデータを元に慎重に選択する」とはぐらかした。
一方、2.35パーセント未満とされるM864の不発弾率にも議論がある。約20年前の実験では、6パーセントが不発だったというデータもある。これは母弾に含まれる72個の子弾のうち、4つが不発になる計算だ。さらに、10年前の実験ではそれより高い数字だったという。
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ウクライナは2014年から使用

露政府付属金融大学・社会学部の軍事専門家、ウラジーミル・エラノシャン准教授は、ウクライナが従前からクラスター爆弾を民間人に対して使用していると指摘する。

「ウクライナはすでにクラスター爆弾を使用している。榴弾砲『トーチカU』の砲弾の一つだ。クラマトルスクやドネツク都市圏への攻撃を思い出してみよう。ウクライナの戦闘員にとってクラスター爆弾の使用を妨げるものはない。彼らは滑走路や軍事目標の破壊を試みているなどと何とでも説明できる。だが、一番の危険にさらされるのは民間人だ」

ウラジーミル・エラノシャン
軍事専門家
実際に反ロシア的な国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」でさえ、2014年にウクライナ軍がドンバスの住宅地に対してクラスター爆弾を使用したと指摘し、ウクライナ政府を非難している。
エラノシャン准教授は、ウクライナが使用しても国際社会が大騒ぎすることはなく、いつものようにロシアに疑いの目が向けられるだろうと加えた。
また、クラスター爆弾の供与で得をするのは、米国の軍需産業だとも指摘。エラノシャン准教授は「全て金だ。彼らは戦争ビジネスを行っている。備蓄を減らすことで次の発注が確約されるからだ」と締めくくっている。
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