研究論文では、気候変動が北極で広範囲のメタン放出を引き起こしている証拠が提示されてる。この地域は、永久凍土の下に膨大な量のメタンがあることで知られている。
十分な低温・高圧の環境下で、永久凍土と氷河の下にあるメタンは固体のガスハイドレートの形で存在している。メタンハイドレートは温度が上昇すると崩壊し、大気中に放出される。
なお、メタンは二酸化炭素に次いで強力な温室効果ガスだ。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によると、メタンは人類が今日直面している地球温暖化の影響の25%以上を担っている。したがって別の気候フィードバックループ、つまり温暖化を加速または減速させる周期的な連鎖反応が見つかった。
気温の上昇によって、1936年以降、スヴァールバル諸島の氷河の体積は30%減少し、それに伴い氷河面積が約10.4%縮小した。最近溶けた78の氷河の場所では、メタンを豊富に含む地下水の湖が形成された。研究チームが水のサンプルを分析した結果、サンプル中のメタン濃度は大気と平衡状態にある地表水中のメタン濃度の60万倍であることがわかった。
研究チームは、この研究はスヴァールバル諸島のみに焦点を当てているが、このようなタイプの発生源からのメタン放出は北極の別の場所でも起こる可能性が高いと考えている。
関連記事