市場データによると、東京外国為替市場の円相場は12日未明、1ドル=140円を割り込んだ。午後4時現在、1ドル=139円45銭~139円57銭の間で取引されている。1ドル=139円台となるのは6月14日以来、ほぼ1ヶ月ぶり。
為替変動のメカニズム
為替相場は各国の政策金利の違いに大きく影響を受ける。例えば、一般的に米国の政策金利が上昇すればより利回りが見込めるドルが買われ、円売りが進み円安になるとされる。
中央銀行による政策金利の決定の背景には様々な要因があるが、一般的に肯定的な経済指標が出れば引き締め(利上げ)圧力、反対に実体経済が悪くなれば緩和圧力(利下げ)が高まるとされる。
これに加え、内外の金融政策関係者の金利操作や為替介入に関する発言も、投資家マインドに影響し円相場の動きを左右することがある。
円高進行の要因は
資産運用会社「三井住友DSアセットマネジメント」のアナリスト、市川雅浩氏が同社公式サイトで発表したレポートなどによると、円の買い戻しが進んだ要因は次のようになっている。
6月の米雇用統計の伸びが市場予想を下回った(7日発表)
6月の米消費者物価指数(CPI)の伸びの鈍化が予想されている(12日日本時間夜発表)
日銀の内田真一副総裁の直近の発言のほか、5月の日本の毎月勤労統計で賃金の伸びが市場予想を上回ったことで、日銀の政策変更の可能性が市場で意識された
米長期金利が低下(10日)しており、日米の金利格差への懸念が緩和した
今後の見通しについて市川氏は、12日発表の米CPI次第では「短期的にドル安円高の動きが強まる」と指摘。さらに、7月に日銀が長期金利の許容変動幅を拡大する判断、つまり事実上の部分利上げが決まれば、円高ドル安が進むと予想した。一方、日銀は「マイナス金利政策の姿勢を強く示す可能性が高く、過度な円安進行は避けられる」とした。
関連記事