【まとめ】岸田首相、資源求めて中東行脚 日・カタール関係、戦略的パートナーシップに格上げへ

日本の岸田文雄首相は16~18日、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタールの中東3カ国を歴訪し、石油・天然ガスなどのエネルギー資源の安定供給に向けて協力することで各国首脳と一致した。一連の日程を終え、19日には帰国する。
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カタール

日本外務省によると岸田首相は18日、最後の訪問国カタールのタミーム・ビン・ハマド・アール=サーニー首長と会談した。エネルギー市場の安定に向けた連携を確認したほか、両国の関係を戦略的パートナーシップに格上げする方針で一致した。また、外交・防衛当局間の対話を促進することでも一致した。
日本の石油、天然ガスの調達先に占めるカタールの割合は、それぞれ7パーセント、4パーセントを占めている。さらに、カタールは天然ガス埋蔵量で世界3位を誇っており、国際市場で大きなインパクトを持つプレイヤーだ。
日本企業は1990年代から25年にわたる長期契約でカタールからLNGを輸入してきた。だが、脱炭素化の動きが進む中、カタール側が求める20~30年間の契約条件が足かせとなり、2021年に一部の大型契約を打ち切ったという経緯があった。今回の訪問には、これによりこじれた関係を修復し、協力を再確認する狙いもありそうだ。
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サウジアラビア

16日に行われたサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子兼首相との首脳会談では、外相級戦略対話をスタートさせることや資源、環境、投資分野などでの協力で一致した。
外相級戦略対話の設置で両国が合意したことを歓迎
重要鉱物の探査や精製、太陽光発電の整備、水素・アンモニアの製造・利用などで連携を進める
「日サウジ・ライトハウス・イニシアティブ」の枠組みを通じて、クリーンエネルギー分野で連携する
半導体や電池等の分野でサウジアラビアからの対日投資の拡大を重視
日本企業の知見や投資を活用し、再エネ・省エネを通じたサウジアラビアの取組みを後押しする

アラブ首長国連邦

さらに、17日にはすでに日本と「包括的・戦略的パートナーシップ」を結んでいるアラブ首長国連邦を訪問。ムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン大統領と会談し、エネルギー、先端技術、防衛など幅広い分野での協力拡大で一致した。
脱炭素化やクリーンエネルギー分野での取り組みを定めた「気候行動に関する日・UAE共同声明」を発表
「日・UAEイノベーション・パートナーシップ」を打ち出し、先端技術分野の協力を強化
防衛装備品・技術移転協定に署名したことを歓迎するとともに、防衛分野での協力強化で一致
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政府が6月に発表したエネルギー白書によると、昨年の日本の石油調達先は中東が94.1パーセントを占めた。岸田首相が訪問した3カ国だけで84.2パーセントと依存度が高い。エネルギー安全保障の重要性が叫ばれるなか、日本としては資源確保と国際市場の安定化を見据え、各国首脳の協力を得たい考えだ。
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