プーチン大統領は露最北部のムルマンスク州を訪問。将来、アークティックLNG2の海上採掘工場となる構造物の建設現場を視察した。プーチン大統領は、プロジェクトが「計画していた時期通りに、必要な品質を伴って実現される」と強調した。
アークティックLNG2は、露天然ガス開発企業「ノバテク」が運営。同社のプロジェクトとしては、すでに稼働している「ヤマルLNG」に次ぐ規模で、完成すれば年間1980万トンの天然ガスを生産する。今年中には最初の生産ラインが稼働を開始し、2024年の第1四半期には660万トンの生産が見込まれる。
日本への追加供給も
ノバテク社のレオニード・ミケルソンCEOは、プロジェクトに参画する日本へのガス供給見込みについても言及した。
「プロジェクトでは権益を保持する我々のパートナーにもLNG供給を実現する。日本側は10パーセントを持っているが、(編注:年間)200万トンの日本市場への供給は確かだ。すでに日本との契約はあり、追加契約も検討されている」
日本財務省の貿易統計によると、2022年1年間で日本が輸入したLNGは約7200万トン。そのうち1割弱の687万トンはロシアからの輸入となっている。これに加え、年間200万トン以上の安価で安定的な供給を、アークティックLNG2から受けられることになる。
エネルギー権益死守
アークティックLNG2では、日本の三井物産とエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)があわせて10パーセントの権益を保持している。日本政府は幅広い分野で露日協力を凍結しているものの、このプロジェクトに関しては、エネルギー安全保障上の観点から撤退しない方針を示している。
日本は今年9月から対露制裁の一環として、「建築及びエンジニアリング分野のサービス提供禁止措置」を導入する。だが、アークティックLNG2と極東ロシアの石油・天然ガス開発事業「サハリン1」、「サハリン2」については対象外とすると発表している。
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