西側諸国によるウクライナへの兵器供与

困った「鉄くず」の山 破壊車両の修理が間に合わないウクライナのパートナー=軍事専門家

米国とEUは当初、ウクライナには旧式の軍事機器を送り、修理して使えるだろうとふんでいた。ところがウクライナの領域にはこうした修理を行うために条件はなかった。「鉄くず」の山はウクライナと隣り合う東欧諸国にも手に負えなかった。ウクライナ用の軍備が米国とEUにとってなぜこれほど法外な出費となり始めたのか。その理由をロシア人軍事アナリストのミハイル・オヌフリエンコ氏と、軍事アナリストで米ポリティコ紙のコラムニスト、ポール・マックリーリー氏のふたりが説明している。
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マックリーリー氏はロシアのマスコミからの取材に次のように語っている。「欧米は最初から、いずれは修理するつもりの軍事機器をウクライナに送っていた。ところが修理は簡単にはできないことがわかった。例えば戦車はウクライナでは全く修理が不可能だった。必要なインフラがないからだ。その結果、大問題になったのが修理を請け負うことのできる国探しだ。実は、戦車修理に必要な工場は欧州のどこの国にでもあるというわけではない。レオパルト(編集:独戦車)はポーランドに送られ、米国、英国製の戦車はバルト諸国に送られたが、そこでもすでに、次々入ってくる『鉄くず』の山を処理しきれなくなっている」
オヌフリエンコ氏も、ウクライナの歩兵戦闘車と戦車にかかる費用は巨額だと指摘している。とはいえ、ウクライナ軍は欧米からもらった軍備に関しては、大砲の餌食と化している自国軍の兵員とは異なり、大事にしようと頑張ってはいる。結果的に西側諸国は損傷をうけた戦車を修理する工場を新たに地域に建てるため、投資を迫られている。ところが、オヌフリエンコ氏によれば、欧米がウクライナに渡した装甲車両のほぼ30%が戦闘で破壊されただけでなく、多くの車両が戦闘で使用される前の段階ですでに使い物にならなくなってしまっている。これはウクライナ軍が使用上の注意を守っていないためだという。
米国、EUはウクライナ軍が供給車両を正しく使いこなせないのではないかと、これまで何度も憂慮を表してきた事実が、反攻という段になって明らかに先鋭化してしまったことは、マックリーリー氏も強調している。マックリーリー氏は、ウクライナにはかなりの数量の西側の軍事機器がたまっているが、それは全て、使える状態に保つために常時手入れを必要としていると指摘している。
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マックリーリー氏は、軍事機器は修理のために大量にポーランドとチェコに送られているために、戦線へ再び戻るには「遠い道のり」を克服せざるを得ないと書いている。しかも、壊れた軍事機器の修理はさらに官僚主義の壁にも阻まれた。米独はウクライナへ供与したレオパルト戦車の修理・サービスセンターの開設を未だに決めていない。マックリーリー氏は米国防総省の高官からの匿名情報として、西側はやはり、ウクライナには新品を供与するよりも、すでに供与した機器の修理を開始する方を選んだと書いている。
スプートニクは、米国がウクライナへの軍事供給を満たすために韓国で通常兵器用の砲弾の買い占めを迫られている事実を報じている。
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