研究者らが最も注目したのは建造物のつなぎ目に使われ、これを強固に固定しているコンクリート。このコンクリートを作る際に古代の建築家は地元の火山が噴出した火山灰のポゾランに軽石とトウファ(炭酸塩堆積物)を混ぜ込んでいたのだが、研究で古代コンクリートの強さの秘密は火山灰にあるのではなく、石灰であったことが明らかになった。しかも、何よりも重要な秘訣は、生コンクリートにこの石灰を混ぜ合わせる方法だった。この謎を最初に解いたのは米マサチューセッツ工科大学だった。
古代コンクリートの作り方は簡単には、ポラゾンを採取し、そこへ水を加え、石灰(酸化カルシウム)と混ぜた後、必ず沸点まで加熱するというもの。もし水酸化カルシウムを使わず、また沸騰させなければ、古代ローマ人が使ったようなコンクリートは出来上がらない。
古代コンクリートの謎解きを助けたのは電子顕微鏡とX線分光法だった。このおかげでコンクリートの内部にある白い石灰の粒がはっきり見えた。こうした粒は通常、コンクリートが十分に混ぜ合わさっていない時にできるため、不良品と捉えられてもおかしくない。ところが、沸騰させた時に出来るこの白い粒こそが建物を堅牢にする秘密だった。この粒は片時も休むことなく自己再生を続け、ひび割れが入った場合、それを補修し続けている。ひび割れに水が入り込んだ場合、水は石灰と接触し、そこで化学反応が始まって、カルシウムを大量に含んだ水溶物が作られる。この水溶物は固形化し、ひび割れを塞ぎ始める。現代のコンクリート建築がひび割れを起こすのに、古代ローマの建造物はますます堅牢さを増しているのはここに違いがある。
古代ローマの建築家の巧みな技は研究者らを魅了した。研究者らは今、3Dプリンターを使った建設に用いるために古代コンクリート「レシピ」の完成度をより高めようとしている。
エジプトの墓の調査をしていた考古学チームは、古代の画家たちが犯したミスを発見した。
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