今夏はすでに気温に関するいくつかの世界記録を更新した。サイエンス・メディア・センターが発表した。
6月と7月は少なくとも1979年以来で最も暑い月となった。7月3日、世界の平均気温は17度に達し、観測史上最高を記録した。世界の海水温も平均を0・8度上回った。異常な暑さはあらゆる生物を死に追いやる。サイエンス・メディア・センターによると、今夏の熱波に見舞われた時期の超過死亡数は7万人を超えた。昨夏に起きた熱波では約6万1000人が死亡した。
エルニーニョ現象の何がいけないのか
学者らは、気候に大きな影響を与える太平洋赤道域の表層水温の通常の変動の乱れに、異常な暑さの原因が隠されていると考えている。ラニーニャ現象と呼ばれるこの海水温が低下する現象は、通常の2年ではなく、3年半も続いた。結果、平常時より冷たい海面下に過剰な量の温かい水が蓄積し、それが海面にほとばしり出て、ラニーニャ現象に取って代わった海水温が上昇するエルニーニョ現象への影響を大幅に増大させた。
今年3月、インド洋、インドネシア、オーストラリアでの気圧の上昇、中央および東部太平洋での気圧の低下、太平洋南部での貿易風の弱まり、風向きが西に変わるなどの一連の大気の変化といったエルニーニョ現象の最初の兆候が記録された。モデリングによると、エルニーニョ現象は2024年にピークに達し、今回は海面からの熱放射が非常に強くなり、異常気象を引き起こすとみられている。
そこでは干ばつ、あちらでは洪水
東側に暖かい水が移動するエルニーニョ現象の有り余る力は、北半球ですでにジェット気流の乱れを引き起こし、場所によってはあまりにもたくさんの熱が蓄積しているという。学者らによると、現在、米国南部と中国東部で観察されているものは「ヒートドーム」と呼ぶことができる。これは高圧の領域に閉じ込められた気団だ。空気と地表からの熱が長期間停滞するため、気温が過度に上昇した。さらにこのようなドームの下には雲が侵入できず、他の領域に見たこともないような量の雲が蓄積し、太陽光を遮断する。その結果、ある場所は猛暑に見舞われ、他の場所では日本のように大きな洪水が発生し、またニューヨークのように気温が平年を下回る場所もある。
静かなる殺人鬼
英レディング大学のリズ・スティーブンス教授は「熱波は静かなる殺人鬼だ。数か月後に死亡統計が発表されるまで、それらが健康にどのような影響を与えるかはわからない」と述べている。同氏は、気候変動はさらに強い熱波を頻繁に引き起こすとし、その過程におけるエルニーニョ現象の役割を無視してはならないとの考えを示している。教授は、太平洋の赤道域における水循環のこのような現象は勢いを増す一方だと指摘している。
スプートニク通信は先に、世界の平均気温が新記録に達したことについて、気候学者のフリーデリケ・オットー氏が人類に対する「死刑宣告」だと述べたと報じた。
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