日本原燃の発表によると、六ヶ所再処理工場で国内の各原発から受け入れた核燃料のうち、敦賀(福井県)、伊方(愛媛県)原発から受け入れた計1538本の核廃棄体の放射線量が過小評価されていたことが今年1月に判明した。これらはすでに全て埋設済みだという。
原因は各原発が検査装置を更新した際、誤った放射能評価プログラムが入っていたためだった。プログラムでは放射性物質「コバルト60」について、「CO60(シーオー60)」とすべきところを「C060(シーゼロ60)」と誤って入力されていた。
再評価したところ、それまで報告されていた数値より実際の放射線量の値が大きかったことが明らかになった。だが、日本原燃は再評価後も「規定数値を超えていないことを確認した」と主張している。
今後の対応については、各電力会社がプログラム改修などの是正措置を完了した後、日本原燃が特別監査を行い、放射性廃棄物の受け入れを再開する。また、これからは電力各社がプログラム更新を行う際、日本原燃も確認作業を実施し再発防止に努める。
日本の信頼が揺らぐ
六ケ所再処理工場ではこれまでに、電球切れによって国際原子力機関(IAEA)の査察カメラによる監視が中断する事案も発生している。青森朝日放送によると、日本原燃側はIAEAのラファエル・グロッシ事務総長が今月初旬に来日した際に謝罪したという。
日本は福島第一原発に保管されている放射性物質トリチウムを含む処理水の海洋放出を、夏にも開始する予定だ。IAEAは放出による健康や環境への放射線の影響は「ほとんど無視できるほど」と指摘している。だが、このようなミスや不手際が続けば、日本の安全管理体制への国民や周辺国の信頼は損なわれる恐れがある。
ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は放出計画について、日本側は安全を主張しているものの、東京電力の隠蔽体質を考慮すると言葉通りには信じられないとの見解を示している。
「残念ながら、これまでの日本の原子力安全分野での実績を考慮すると、東京(編集:日本政府)を言葉通りに信用することはできない。東京電力はこれまで、安全に関わる情報を幾度もなく隠蔽し、嘘のデータを公表してきた。国際原子力機関(IAEA)や国際社会に日本が渡した証拠の質にも疑問が残る」
ロシアはデータを出す日本政府や東電の主張、日本の安全管理体制に不信感を抱いているのであって、科学的な根拠そのものを頭ごなしに否定しているわけではない。だが、安全性を示したデータの提供やIAEAのお墨付きだけでは不十分だ。日本がロシアや中国など周辺国の理解を得たいのであれば、放出が実施される海域での各国による独自の放射線モニタリングの機会や、処理水のサンプルを提供するなど、積極的な情報開示を行わなくてはならない。
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