43両の廃棄処分は2010~2014年に行われ、計400万ポンド(現在のレートで約7.3億円)の国費が投入された。同紙は「国防省はウクライナに送ることができたはずの数十台の戦車を、数百万ポンドもの国民の税金をかけて破壊した」と皮肉っている。
英国は今年1月にチャレンジャー2供与を決定。その後、追加支援も発表され、5月までに計28両がウクライナ側に引き渡された。
チャレンジャー3までの「つなぎ」
英国防省は1990年代、あわせて386両のチャレンジャー2を購入した。その中にはイラク戦争で使われたものもあり、2010年までに40両が廃棄されている。その後、安全保障戦略の見直しの一環として、これまでにその数は約40パーセント減少している。
英国防省はこれまでに、保有するチャレンジャー2を148両にまで減らす計画を発表している。残された戦車は次世代機「チャレンジャー3」の登場までの「つなぎ」としてすでに改修が行われている。
英議会国防委員会のトバイアス・エルウッド委員長のこれまでの発言によると、ウクライナに供与されたチャレンジャー2はこの「つなぎ」からも外された備蓄として保管されていたものだ。武器庫に放置されていた退役したチャレンジャー2は75両あったという。
過去の遺物の見直し
英陸軍戦車部隊の元司令官で、軍事専門家のジャスティン・クランプ氏は、用済みとなったチャレンジャー2の多くが保管庫行きにならず廃棄された理由として、維持に莫大な費用がかかることを挙げている。また、ウクライナ紛争以前は欧州での大規模な地上戦が「過去の遺物」とみなされていたことも念頭にあったという。
だが、ウクライナ支援で十分な数の戦車を送ることができない現状を受け、英政府は将来の軍備政策を変更する可能性が高いという。実際に英国防省はこれまでに、次世代のチャレンジャー3について「英国軍の防衛のニーズを満たすため、数量について見直しを検討している」と増産を示唆している。
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