長崎「原爆の日」の式典 加害者・米国には誰も言及せず

米国による長崎への原爆投下から78年を迎えた9日、長崎市で平和祈念式典が行われた。広島での式典と同様、演説した政治家らは加害者である米国には一言も触れなかった一方、お決まりのロシア批判を繰り返した。
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式典の様子はNBC長崎放送など日本各メディアが中継した。今年は台風接近の影響で60年ぶりに屋内で行われた。岸田文雄首相も参列を取りやめ、ビデオメッセージを送るのみにとどまった。
式典では岸田首相や長崎県知事のビデオメッセージのほか、長崎市の鈴木史朗市長の演説、国連のアントニオ・グテレス事務総長のメッセージの代読などが行われた。だが、いずれも原爆を投下した米国には一言も触れなかった。対米関係を考慮したものとみられる。
一方、岸田首相や鈴木市長は「ロシアによる核の威嚇」というパターン化されたフレーズを使い、一方的なロシア批判を繰り返した。鈴木市長は演説中、「地球に生きるすべての皆さん」に呼びかけたなかで、「被爆地を訪れ、核兵器による結末を自分の目で見て、感じてください」と述べている。だが、式典の主催者側である長崎市は、昨年に引き続き今年もロシアとベラルーシの代表を招待していない。
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ロシアのマリア・ザハロワ報道官はこれまでに、日本側のこうした対応が「米国の行為による犠牲者の記憶を忘却し、ロシアの名誉を棄損する試みだ」と指摘。5月のG7広島サミットで「ロシアによる核の脅威」が取り上げられたことは「シニカルで笑止千万」と述べている。また、元露大統領で現在は国家安全保障会議の副議長を務めるドミトリー・メドベージェフ氏はこれまでに、岸田首相が広島と長崎の原爆の犠牲者の記憶を裏切り、米国の手下としてロシアを非難していると主張している。
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