【視点】安全保障の罠 日豪円滑化協定が13日に発効

自衛隊とオーストラリア軍の相互往来をスムーズにする「円滑化協定(RAA)」が13日に発効する。日本と米国の間にはすでに在日米軍の日本国内での法的地位を定めた日米地位協定があるが、日本が他国と円滑化協定を締結したのはオーストラリアが初めて。ロシア科学アカデミー中国・現代アジア研究所の専門家ワレリー・キスタノフ氏はスプートニクのインタビューで、日豪円滑化協定は地域に平和をもたらさないだけでなく、状況を不安定にし、軍拡競争を激化させるきっかけになるとして、その理由を語った。
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日本外務省はオーストラリアとの円滑化協定について「この協定は、両国部隊間の協力活動の実施を円滑にし、両国間の安全保障・防衛協力を更に促進するとともに、日豪両国によるインド太平洋地域の平和と安定への一層の貢献を可能にするものだ」と発表している。日本外務省のこの評価は心強いものに聞こえる。
一方、ジャパンタイムズはこれについてより率直に意見を述べている。同紙は、日本政府は中国がインド太平洋地域でその軍事プレゼンスを不必要に強化していると考えており、日本は米国およびその同盟国と軍事協定を締結することによって中国封じ込めを強化しようとしていると強調している。
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キスタノフ氏は、日豪間の軍事協力拡大に関する協定は対中ブロック「AUKUS(オーカス)」への日本の参加に向けた決定的な一歩となるとの見方を示している。さらには米国議会もすでにそのような可能性を発表している。キスタノフ氏は また、日本の岸田政権は米国の同盟国らと安全保障分野の協定を締結し、国際舞台やアジア太平洋地域における日本の軍事的および政治的役割を拡大させる路線を継続していると指摘し、「そのために日本は既存の日米安全保障条約を活用しているだけでなく、地域の別の小さな同盟にも積極的に参加しており、このようにして他国やNATOブロックとの軍事分野における関係を強化している」と説明した。同氏によると、日本はさらなる軍事化に関心を持っており、米国が日本の核保有を容認することに期待している。キスタノフ氏は、米国はAUKUSの枠組みの中で核技術を移転する用意があることを示したため、AUKUSとの関係発展に日本が関心を持っているのはまさにそのためだと指摘している。
一方、キスタノフ氏は、アジア太平洋地域における米国の同盟国らの露骨な強化は必ずや中国を対抗に向かわせ、中国と米国およびその同盟国の新たな軍拡競争を引き起こすおそれがあると警告している。同氏は「世界の分断が進んでおり、中立国は減少している。よい意味での安定は一切生まれないだろう。なぜなら、中国の敵が武装しているのであれば、中国も適切な対抗措置を講じる必要があるからだ。ここに所謂『安全保障の罠』がある。他国に対して武装すると、その国は措置を講じるのだ」と説明した。
先に、米国と日本、台湾は偵察ドローンで収集した情報をリアルタイムで共有する見通しだと報じられた。スプートニクは、その目的について専門家に話を聞いた。
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