はじめに、我われの南アフリカの友人たちが今年のそのBRICS議長国の過程で行ったことすべてに対して彼らに感謝したいと思います。
演説した同僚たちはすでにBRICSの活動を肯定的に評価しており、全体として我われもそれらの評価に同調しています。我われ「5か国」は十分な根拠を持って国際舞台において権威ある組織として確立され、世界情勢におけるその影響力は首尾一貫して強化されています。
団結の戦略的路線は未来を志向しており、国際社会の主要部分、いわゆる世界の多数派の願望に応えています。我われは同権、パートナー支援、互いの利益を考慮する原則に基づいて足並みをそろえて行動し、世界的および地域的な議題の最も差し迫った問題に取り組んでいます。
重要なのは、国連憲章の最も重要な原則を遵守しながら真に公正で国際法に基づいた多極世界秩序の形成を我われ皆が一致して支持していることです。そこには主権とすべての人々の独自の開発モデルの権利の尊重が含まれています。我われはいかなる覇権にも、また一部の国が宣伝している自分たちの優位性にも、そしてこの仮定に基づいた新植民地主義を継続するという新たな政策にも反対しています。
私は、まさに世界におけるその覇権の維持を目指すこと、この覇権の維持を一部の国が目指していることが、ウクライナの深刻な危機を引き起こしたことを指摘したいと思います。
はじめに西側諸国の助けによって、この国(編注:ウクライナ)で憲法違反のクーデターが実行され、その後、このクーデターに同意しない人々に対して戦争が開始されました。残酷な戦争、殲滅する戦争が8年間にわたって続きました。
ロシアは自分たちの文化、自分たちの伝統、自分たちの言語、自分たちの未来のために戦う人々をサポートすることを決めました。ウクライナにおける我われの行動はただ一つ、西側諸国とその衛星国がウクライナでドンバスに住む人々に対して始めた戦争に終止符を打つことに基づいています。
我われは、この状況を終わらせ、平和的手段で公正な解決を達成する試みに積極的に参加しているBRICSの同僚に感謝しています。
尊敬する同僚の皆さん、重要なのは我われ皆が一致して真に公正で国際法に基づいた多極世界秩序を支持していることです。
BRICS諸国は年々その可能性を拡大しています。すでに述べられたように、そこに30億人以上の人々が住む「5か国」のGDPが世界にが占める割合は、購買力平価に関してすでにいわゆる「G7」の割合を超えています。過去10年間でBRICS諸国の世界経済への投資は倍増し、輸出総額は世界全体の20%に達しました。
2025年までの加盟国の経済パートナーシップ戦略は順調に実施されています。特に、サプライチェーンの多様化、相互決済における脱ドル化と自国通貨への切り替え、デジタル経済、中小企業支援、公正な技術移転などの分野に関する5か国の協力が強化されています。そしてもちろん、経済界はこれらのプロセスに参加し、イニシアチブを発揮しています。本日の会議の主催者であるラマポーザ大統領がすでに述べたように、BRICSビジネス評議会とBRICS女性ビジネス・アライアンスのラインで多くの作業が行われており、これらの組織の責任者たちが同会議に出席しています。
BRICSの協力の重要な優先事項は、安定かつ安全な新しい輸送網の構築です。BRICSビジネスフォーラムの参加者を前に演説し、私はすでに北部の海やバルト海のロシアの港とペルシャ湾およびインド洋の海岸にある海洋ターミナルを結ぶ「南北」回廊などの大陸横断ルートの開発加速が緊要であることについて述べました。将来的に年間最大3000万トンの貨物輸送が可能となるでしょう。
我われは、BRICSの枠組みの中で常設の運輸委員会を設立する時期が訪れたと考えています。同委員会は「南北」プロジェクトだけでなく、より広い視野での地域間および世界的な物流と輸送回廊の開発にも取り組むでしょう。パートナー国が同意した場合、ロシア側は2024年のBRICS議長国の一環としてこの構想を練ることが可能です。
そしてもちろん、我われはグローバルイノベーション分野における「5か国」の協力強化を歓迎します。BRICS研究インフラのグローバルネットワーク構想の枠組みの中で協力を強化することを期待しています。その支援と発展には特別信託基金が取り組むことができるでしょう。ロシア側としては、デジタル変革や人工知能の利用などの分野で蓄積された経験や先進的な実地経験を伝える用意があります。
我われはまた、核医学に関する共同作業部会の設立に関する合意の履行に積極的に参加する意向であり、中等職業教育における協力に関するBRICSアライアンスの活動をできるだけ早く実践に移すことに関心を持っており、女性問題に関する個別の閣僚級会合を開催するという南アフリカの同僚たちの提案を全面的に支持しています。我われの国々の政治、経済、社会生活における女性の役割は間違いなく拡大しなければななりません。
尊敬する同僚の皆さん!
来年、BRICSの議長国はロシアに移ります。我われは「公正でグローバルな発展および安全保障のための多国間主義の強化」をモットーに議長国を務めます。約200の政治、経済、社会的な行事が計画されており、それらはロシアの十数都市で行われます。また2024年10月にカザン市でBRICS首脳会議を開催する予定です。具体的な日程は外交ルートを通じて同僚たちと調整します。そこでは、その良さをしっかりと発揮した「BRICSプラス/アウトリーチ」形式の行事も開催されます。
我われは議長国の任期中に、加盟国拡大に関するものを含め、今回のサミットで承認された決定の実施に効果的に寄与するためにあらゆることを行う意向です。
我われは、外交政策文書に関してパートナー国と緊密に連携し、国連をはじめとした最も重要な国際的な場で力を合わせて作業し、安全保障に関する上級代表者たちの定期的会合の実施を継続します。
もちろん、テロやテロリストの思想拡散との闘いなどの緊急課題、マネーロンダリング対策や犯罪的な方法によって取得された資産の返還にも優先的に注意を払います。
なお、マネーロンダリングに関する金融活動作業部会(FATF)への支援に対してパートナーの皆さんに感謝申し上げます。この連携の気概が今後も維持されることを期待しています。
2025年までのBRICS経済パートナーシップ戦略のさらなる包括的な実施および新たな長期的な協力の指針の策定を促進します。それらの中には、国際通貨金融システムにおける我われの国々の役割の増大、銀行間協力の発展、各国通貨の使用拡大、税務、税関、独占禁止当局ラインでの協力の深化などが含まれます。
言うまでもなく、ロシアの優先事項には科学とイノベーション、保健、教育、そして人道的なつながり全般の発展といった分野におけるパートナーシップの強化が含まれています。文化や文明の多様性は新たな多極的な世界秩序を支える柱の1つであり、文化交流、芸術、創造が一体となった自由な空間の創造を意味しています。
BRICSのパートナー国、また我われにとって重要なSCO(上海協力機構)のパートナー国、そしてCISのパートナー国やその他の国々とともに、世界の文化の未来や、世界文化遺産の保存および増加について真剣に議論する時期が来たようです。ところで、ロシアのサンクトペテルブルク市で今年11月16日から18日に開催されることがすでに予定されている第9回国際文化フォーラムはこうした対話の場となることができるでしょう。
そしてもちろん、ロシアはスポーツや青少年交流の分野におけるコンタクトのさらなる発展をあらゆる手段をつくして促進し続けます。特に、2024年6月にBRICS大会が予定されています。来年カザンで開催される国際大会「Games of the Future」でも加盟国のチームを喜んでお迎えします。これらの大会は、ダイナミックなスポーツ種目と最も人気のあるビデオゲームやハイテク機器のユニークな組み合わせです。2024年3月にソチで予定される世界青少年フェスティバルはコンタクトと友好交流にとって良い機会です。
最後にもう一度、ロシアはその議長国の任期中にBRICSの役割と権利をさらに強化するために「5か国」のパートナーと最も建設的なかたちで協力することを強調したいと思います。BRICSはもちろん、今後も拡大の一途をたどるでしょう。
ご清聴ありがとうございました。