動脈硬化という病気は「悪玉コレステロール」として知られるリポ蛋白の高濃度によって引き起こされる。悪玉コレステロール値が高いと、動脈が詰まって心臓発作や脳卒中のリスクは高くなる。アテローム性動脈硬化の治療には、「悪玉コレステロール」の増殖を抑制するスタチンが使用されるが、このスタチンは処方された時点から終生服用しなければならない。ところが医師らが指摘するようにスタチンはすでに蓄積されてしまったコレステロール値を下げることはできない。コレステロールの形成は未解明の遺伝的原因によるところが大きいからだ。
オーストラリアの研究者チームはこの遺伝の壁を克服しようと、ムバラプリンという先駆的な薬剤を開発した。この薬は患者の体内に蓄積されたすべてのコレステロールの鎖を相互作用を分子レベルで阻害することによって、断ち切る。医学者たちは114人の被験者を使った研究でムバラプリンの有効性を確認した。被験者のうち89人にはムバラプリンを、25人にプラセボを投与した。
被験者にはまず、ムバラプリンを1ミリグラムから800グラムまで徐々に増やして投与し、必要な量へと引き上げていった。実験の第2段階では、1日30ミリグラムのムバラプリンを14日間服用した場合の薬効が評価された。その結果、服用した患者の血液中の「悪玉コレステロール」値は2日目にはすでに著しく減少し、2週間後には65%減少した。
ムバラプリンの投与からは頭痛、下痢、疲労感などの副作用が観察されたが、全体的には被験者は試験によく耐えた。ムバラプリンの開発者らは、遺伝性コレステロール値を初めて錠剤の服用だけで下げることが可能になったということで従来のコレステロール治療のありかたを根底から覆したと語っている。
スプートニクは、研究でコーヒーの飲用がコレステロール値を下げることがわかったと報じている。
関連記事