「NATOの日本事務所開設が延期された後も、大手グローバル企業もそれよりも著名度が多少劣る企業も、日本を営業コスト等の経費削減のための拠点としてとらえる関心は衰えていません。製造協力の計画や、共同製造品の第三国への輸出に許可が下りそうなことも、この関心を後押ししています。 これまでは日本はこの分野に制限を設けてきましたが、今後は供給者、輸入者ともに数が大幅に増える可能性があります。その意味で、他国との共同製造品はより期待が大きいといえます。 また、いつか日本にNATOの事務所が開設されれば、現在の軍事技術協力が軍事協力に発展する可能性もあります」
「重要なことは、日本はこの地域における米国の主要な同盟国であり、その軍事力に米国が頼っているということです。 韓国も米国の同盟国ですが、北朝鮮や中国と隣接しているため、日本に比べると脆弱です。もちろん、日本の管理体制やロジスティクスは他国に比べて安定しており、予測が可能で整備されています。そして、このロケーションは、なにがなんでも親米であり続けることには変わりはありません。ただし、管理拠点を一か所に集中させることが戦略的に正しいかどうかはわかりませんが...」
「日本は、入札がなく、購入が厳格に集中化されていたこの分野に『揺さぶりをかける』ための支援と開発に興味を持っています。しかし、日本のメーカーにとって、これはリスクを伴います。日本の軍産複合体は、現地の下請け企業(部材を供給する中小企業)と緊密に協力しています。しかし共同開発の場合、パートナーが欧米企業からの部材購入を強制する恐れがあり、そうなると日本の下請け企業は受注を失うことになります。 共同プロジェクトの中には、すでに進行中のものもあります。
それは次世代戦闘機ですが、今後は別の新しいプロジェクトも現れてくるでしょう。日本は幅広い分野で軍事製品を生産していますが、弱い部分もあるからです。例えば、航空ドローン。これは日本が手掛けてこなかった分野です。また、リスクがあるのは中小企業だけではありません。大企業だって同じで、ようやく黒字化したばかりです。三菱重工や川崎重工は有名な企業ですが、西側のパートナーほどブランド力があるわけではありませんし、共同プロジェクトの主な受益者となり得る西側企業の陰に隠れるリスクがあります」
「おそらくこれは最初のステップです。日本での共同開発は可能ですが、生産拠点を日本に移すことは、メーカーと日本の双方にとって不利になります。第一に、コストがかかること、第二に、日本自体が労働力不足に陥っていることです。 また日本社会はプロパガンダや反中・反露制裁が行われてはいても、それに積極的ではなく平和主義的です。 彼らにとって安定は重要であり、他人の『戦い』に入っていく気はありません。 確かに、米国は日本にすべての代償を払わせることができるメカニズムを持っています。すべては地域状況次第です。 米国は、状況が日本を脅かしている、脅威は現実となるかもしれない、日本は自分で自国の安全を確保しなければならない、と言うかもしれません…」