シムシル島とその沿岸海域のユニークな動植物、数世紀前に遡る驚くべき歴史、そして戦略的意義のあるその重要な地理的位置は、学者にとっても軍にとっても非常に興味深い。そのため、さまざまな専門性を持つ6つの研究グループがこの島を詳細に調査した。遠征責任者の1人、セルゲイ・チェチュリン氏がスプートニクに語った。
生物学者と植物学者たちは、シムシル島で貴重な魚類学的および生物学的資料を収集し、地殻物理学的調査を実施、貴重な自然領域と生態系を調べ、島の動植物に関するデータを収集した。学者らによると、シムシル島ではまるで時間が止まったようであり、ここでは本土ではすでに絶滅した植物や鳥類に出会うことができるという。特に植物学者たちの関心を引いたのが、この島固有の日本品種のイチゴ。このイチゴの味、香り、そして保存性は非常に優れているため、学者たちはロシア中部へ「移植」することを決定した。
シムシル島への学術遠征は、歴史学者たちにとっても有益なものとなった。歴史家たちは、この島の先住民であるアイヌの住居跡の正確な座標を確立した。アイヌの人たちは便利な湾の岸に沿って住み、魚を捕り、ラッコを狩猟していた。ラッコの毛皮は暖かく、耐久性に優れ、美しいため、高く評価されていた。
18世紀になるとロシア人がクリル諸島の開拓を開始し、シムシル島にもロシアの漁師などが現れた。歴史学者らは、彼らの住居も発見し、研究している。また、米軍による島への侵攻を防ぐために日本人が1944年にブロウトナ湾の入口付近につくった岩のトーチカも2つ発見され、調査の歴史に新しいページが開かれた。なお、第二次世界大戦中、シムシル島には大きな日本の守備隊が駐屯していたが、主要な考古学的発見はまだない。第二次世界大戦後は、ロシアの国境警備隊員と地震学者がシムシル島に定住し、1994年に撤退した。現在は無人島だが、チェチュリン氏によると、学者らはシムシル島での学者や軍人の駐留再開がロシアにとって戦略的に重要であることを確信しており、この島にあったインフラの復興を提案しているという。
同氏は、便利な物流はないものの、シムシル島は観光開発の観点からは有望だとの見方を示している。多くの人が、その素晴らしい自然と美しい景色を求めて、遠くても行きたいと思うだろうと考えられている。例えば、シムシル島には6つの火山があり、そのうち3つが現在活動中。そんな島は、シムシル島以外にどこにあるのだろうか?チェチュリン氏は、これは驚くべきことであり、文字通り、別の惑星に来たようだと語っている。
スプートニクは先に、日本人による南クリル諸島へのビザなし渡航停止に関するロシアの決定に政治がどのような影響を与えたかについて報じた。
関連記事