「南シナ海を含め、中国とASEANの協力が直面している主な問題は、米国の存在です。つまり、米国は南シナ海を軍事対立の海域にしようとしているのに対し、中国とASEANは平和な海にしようと努力をしています。マーク・ミリー米統合参謀本部議長が述べているように、米国軍事戦略における『第一列島線』には、西太平洋にある日本、フィリピン、ベトナムが含まれています。
インドネシアはASEANの現議長国として、協力を主要テーマとする今年のASEANサミットに多くの国々を招待しました。しかし、バイデン米大統領はサミットに出席していません、インドネシアはこの決定に非常に失望しています。一方でバイデン氏はインドで開催されるG20サミットへの出席、そして別途ベトナムへの訪問を準備しています。これは、ワシントンがアジア太平洋地域で構築されつつある戦略構図の中心支点として、ベトナムを関与させたいと考えていることを示しています。米国がASEANを盤上の駒と見なしているのは明らかで、この地域での優先事項は経済建設ではなく地政学的ゲームです。ASEANは平和と協力を望んでいますが、米国はASEANに、たとえば中国の『一帯一路』構想への支持をやめさせるなど、どちらかの味方をさせようとしています。このような米国の行動は、中国とASEANの協力の発展の脅威になることを認識する必要があります。」
「中国とASEANの経済協力は大きな需要があります。ASEANは特に中国の高速鉄道の敷設技術を必要としています。包括的地域経済連携(RCEP)協定の実施に伴い、ASEANには大量の貿易品を輸送する必要が生じてきていますが、ASEAN諸国の鉄道はいまだに狭軌が主流で、重量物を扱うことができません。このような中国とASEANの協力の一例が、間もなく開通するジャカルタ・バンドン間の高速鉄道でです。ASEAN諸国は中国との経済協力のメリットを見据えており、中国が米国のように単なる約束だけで終わる国でないことを理解しています。」