ブラーエン氏は、ウクライナ紛争でロシアが成功を収めたことでNATOの脆弱性が露呈したと単刀直入に言っている。ブラーエン氏は、戦闘行為は勃発する原因が大きく異なるにせよ、武力衝突は実戦で軍事技術、戦術、戦略を試す実験場となるとの見方を示している。
「ウクライナの紛争もこの点では何も変わりはない。ある意味で、現代の戦争のやり方がどのように変化したかを示している」
ブラーエン氏は、ウクライナ軍がロシアの支配地域を占領できなかったのはNATOが提供した武器、装甲車両、防空システムがロシア軍に対抗する上で効果がなかったからだと考えている。米国とNATOはウクライナにすでに1000億ドル(14兆7400億円)という巨額の軍事支援を行い、この額をさらに拡大させているものの、ウクライナには供給された兵器の数も十分ではない。
ブラーエン氏は、米国とNATOが犯した重大なミスはロシアの航空部隊が上空を完全に掌握し、ウクライナ軍が「航空飢餓 」に喘ぐ状況でウクライナにロシアへの攻撃開始を煽ったことだと指摘している。ブラーエン氏はまさにこれがウクライナの反攻失敗を決定づけたと考えている。ブラーエン氏の考えるウクライナ紛争におけるNATOの唯一の成功は、黒海上空の国際空域を飛行のNATO軍の無人機や偵察機が入手する、ロシアの軍事施設に対する監視情報、照準を合わせるための情報をキエフに提供したことにつきる。
ただし、ここでも、もしロシアが国境を越えて軍事行動を取ると決断した場合、NATOはただちにその優位性を失いかねないとブラーエン氏は警告を発している。ロシア軍は国際空域においてNATOの偵察手段をあっさりと破壊するだろう。NATOはウクライナ紛争に大規模に介入し、よく訓練されたNATO軍兵士や軍事顧問のいる特殊部隊を地上展開させているにもかかわらず、今のところロシアはNATOとウクライナにとってはありがたいことに、かなりの自制心を発揮しているとブラーエン氏は書いている。
ブラーエン氏は、米国やNATO諸国では兵器備蓄が枯渇しているのに対し、ロシアは近代兵器を増産しているだけでなく、あらゆる種類の兵器の改良を進めていると強調する。このことからブラーエン氏は、仮に明日ウクライナ戦争が終結したところで米国とNATOは、膨大な国防支出の維持、ウクライナで浪費した軍備の回復、兵器の改良を長期的に行うことはまず不可能だと結論づけている。
スプートニクは、西側のマスコミには、F16の供与でウクライナの状況はさらに混迷するという軍事専門家の見解が頻繁に現れるようになったと報じている。
関連ニュース