全ロシア漁業海洋科学研究所のキリル・コロンチン所長は、ウラジオストクで開かれている東方経済フォーラムで登壇したなかで次のように説明している。
「我々が魚介類の組織などを調査し得られた初めての分析結果によると、懸念することは何もない。予測では概ね良い結果が示されている。日本でどうかは分かりかねるが、ロシアの漁業者にとっては問題はなく、我々の食卓も大丈夫だ」
調査は露水産庁の要請で、先月24日の処理水放出開始からまもなく始まった。主に処理水が流れてくる南クリル諸島近海の魚介類のリスク評価や、極東ロシアの漁業への影響を調べている。調査は今月下旬に終了する予定。
検査は3倍に
一方、露連邦獣医植物検疫監視局は処理水の放出以降、極東地域で水揚げされた魚介類の検査を3倍に増加させた。これまでのところ、放射線量の基準を超えた事例は確認されていない。
9月10日までの1週間で、沿海地方やサハリン州で177点のサンプルをもとに計532回の検査が行われた。対象はサケ、マス、タラなどの魚類のほか、エビやカニなどの甲殻類、ホタテなどの貝類にも及んだ。
東京電力は先月24日、処理水の海洋放出を開始。日本の各メディアによると、9月11日には初回の約7800トンの放出が完了したが、これまでにトラブルや基準値超えは確認されていない。放出完了までは約30年がかかる。
中国当局は、福島第一原子力発電所からの処理水の海洋放出を理由に、日本産水産物の輸入を禁止した。これまでに一部メディアは、中国にとって最大の水産物供給国のひとつであるロシアに漁夫の利を与える可能性を指摘している。
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