それもそのはず、岡山県倉敷市のイノベーターらは、「空飛ぶクルマ」を展示した。これは最も求められている未来の技術の1つであり、近い将来、私達の生活に不可欠なものとなる可能性がある。
未来の乗り物のイメージとして展示されたのは、中国で開発された「イーハン・EH216AAV JX0168」モデルだ。全長6メートル、高さ2メートルで2人乗り。速度は時速130キロで、最大飛行距離は25キロとなっている。
一般社団法人「MASC」の「空飛ぶクルマ」のプロトタイプ
© Sputnik / ドミートリ・ガヴリーロフ
「空飛ぶクルマ」技術の実験は、日本の福島、高知、兵庫、大分、広島の各県でもすでに実施された。この新しい交通手段はいつ実用化されるのだろうか。スプートニク特派員は、未来の技術の可能性や課題についてMASC理事の鋤本浩一さんに話を聞いた。
スプートニク:一見、同じように見える「空飛ぶクルマ」とヘリコプターの違いは何ですか?
鋤本さん:主な違いは3つあります。1つ目は高度で、ヘリコプターが高度500メートル以上なのに対し、「空飛ぶクルマ」は高度150~500メートルを飛びます。2つ目は「空飛ぶクルマ」は電気を動力としており、飛行時にいかなるカーボン(編注:二酸化炭素など)も発生させません。3つ目は、パイロットがいらないことです。搭載されたプログラムで自動運転され、制御はオペレーターが行います。
スプートニク:このテクノロジーのメリットは何ですか?
鋤本さん:第一に経済性です。「空飛ぶクルマ」は現在のヘリコプターより、費用が少なくて済みます。また、今お話したようにカーボンを出さないことから、地球環境にも優しいです。
スプートニク:安全性はどうでしょうか?雨の日や風が強いときでもオペレーターとの通信は安定しているのでしょうか?
鋤本さん:これは重要なことです。私達は今、この点の作業を進めており、政府も確認を行っています。市場に出る際には、シグナルが途絶えないという100パーセントの確証を持ち、安全なフライトを保証しなくてはなりません。
スプートニク:こうした技術が日常生活に積極的に取り入れられるようになるのは、いつになるとお考えですか?
鋤本さん:2025年から2030年ごろにかけて、市場は段階的に発展して顧客サービスも始まるでしょう。その頃には様々な準備も整うはずです。私達にとって出発点は2025年の大阪での万博になると思います。このほか、私達はローカルビジネスの需要に焦点をあてています。2030年ごろには地方での市場要請に応えるものが実現すると確信しています。
スプートニク:このプロセスを成功させるのには何が必要不可欠でしょうか?
鋤本さん:まずは日本の様々な法律を変える必要があります。多くは政府の決定に依存しています。政府は今、規制改革に積極的で柔軟な姿勢を示してくれています。
スプートニク:このテクノロジーが市場に出る際、他に懸念されるリスクはありますか?
鋤本さん:もしかすると、経済的な観点からリスクはあるかもしれません。どのように市場が変わるのか、フライト事業を継続させられるだけの収益性を確保できるのかなどの問題です。
スプートニク:将来、地上を走る自動車は必要なくなるのでしょうか?皆が「空飛ぶクルマ」に移行することになるのでしょうか?
鋤本さん:いえいえ、全ては用途の問題です。私達は「空飛ぶクルマ」と従来の飛行機、電車などの可動性を結集することを目指しています。最善の策は、様々な交通手段を混ぜて使うことです。新世代の移動システムはとても複雑なメカニズムを持ったものになるでしょう。
鋤本さんへのインタビューのあと、スプートニク特派員は「空飛ぶクルマ」のプロトタイプに試乗した。コックピットの寸法は小型なのにも関わらず、かなり広々していることが判明した。また、将来の空中タクシーのフライトオペレーター用プログラムも体験。最新技術は感銘を与え、将来の明るい展望を見せてくれるものだった。5年、10年後はどうなっているのだろうか。少なくとも、プロジェクトの運命にとって大きなターニングポイントとなり得る2025年の大阪・関西万博を待たなくてはならない。
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