スプートニク日本
陸空両用機のコンセプトは1946年に生まれた。発明したのはロバート・フルトンで、エアフィビアンが作られた。ベースとなったのは車ではなく飛行機だった。飛行機に陸を移動させるほうが、車が空を飛ぶより圧倒的に容易だったためだ。1950年、エアフィビアンは飛行許可証を得て、小型飛行機メーカーのテイラークラフトに売却された。しかし、同社は空飛ぶ車を生産する試みを一切行わなかった。
2017年にはスロバキアの空飛ぶ車「AeroMobil」の市販版が登場。今年2月にはオランダの「PAL-V」社が空飛ぶ車「Liberty」の先行予約を開始した。
ロシアも遅れてはいない。有望研究基金は昨年、コンクールを開いて垂直離陸小型飛行車の開発に資金を確保。鍵となる要件の1つは、空飛ぶ車の操作が乗用車のように簡単であるべきだというもの。カラシニコフ社は昨年秋、自社開発した1人乗りの空飛ぶ車を発表した。ウラジオストクのエンジニアグループ「KB 4232」も垂直離着陸、ホバリング、悪路走破性、自動運転機能を備えた電気自動車として「Furia N1」をサイトで公開している。
日本では自動車や航空機製造などの経験と知識を持つ有志が空飛ぶ車の開発を進めている。2012年にスタートしたそのプロジェク
「CARTIVATOR(カーティベーター)」には昨年、トヨタグループが3年間で総額4250万円の資金を提供する方針だと発表した。2020年の東京五輪での聖火点灯デモで披露することを予定している。
同プロジェクトのサイトには「我々は、インフラ不要の"真に自由な移動"を実現し、『2050年までに誰もがいつでも空を飛べる時代を創る』ことを目指します。そしてこのビジョン実現のためには、道路や滑走路を必要としない垂直離着陸型で、コンパクトな空飛ぶクルマが必要となります」と書かれている。
スプートニクのインタビューに対し、「Cartivator」の開発チームのメンバー佐藤望美氏がプロジェクトの詳細を語ってくれた。
スプートニク: 「次世代の人達に夢を提供する」というモットーのもとで、空飛ぶクルマ」の開発を行っています。現在のところ最も重要な課題は何ですか。
佐藤さん: 技術的な課題は、機体の応答性・安全性向上、バッテリー技術向上などです。
スプートニク: 「空飛ぶクルマ」を運転する人はどのようなスキルと証明書 - 運転手またはパイロットの免許を持たなければなりませんか。
佐藤さん: CARTIVATORとしては、今の自動車免許レベルで特殊な訓練などが必要ないレベルを想定しています。
スプートニク: 日本の2020年夏季五輪で「空飛ぶクルマ」の使用は実現可能ですか。選手やお客さんはそのクルマで移動できそうですか。それともこれはあくまでプロモーションの一環でしょうか。
佐藤さん:あくまでも我々の目標であり、実現したいと思っておりますが、先方のある話なので、可能性はお答えできません。移動手段ではなく、聖火台点灯を実現したいと考えています。
佐藤さん:CARTIVATORとしては"日本発"を掲げていますが、社会実装に向けた前向きな議論はむしろ欧米の方が進んでいると思っています。国の垣根を超えて、よりよい社会を目指すコンセプト・ビジョンの共有が必要だと考えています。
空飛ぶ車の登場によって旅はより手の届きやすいものになるのか?それとも、空飛ぶ車は富裕層のおもちゃになるのか?当初は高価だった車やガジェットがそうであったように、空飛ぶ車の価格も時とともに下がり、大量生産に移り変われば、今度は空で交通渋滞が起きないか?空飛ぶ車に関する広く認められた法律やルールはまだ存在しない。だが世論は何よりも安全の問題を懸念している。
関連ニュース