【視点】エネルギー領域における「グリーン・トランジション」 現実か、それとも夢への「険しい道」か?

天然ガスは代替不可能であるため、2050年以降も多くの国にとって主要なエネルギー源であり続けるだろう。カタールのサアド・アル・カアビ・エネルギー担当国務相(カタールの国営エネルギー企業カタールエナジーのCEOも兼務)が、東京で開催された「東京GXウィーク(TOKYO GX WEEK)」の閣僚会議で語った。スプートニクは、今世紀半ばまでの天然ガスの将来について、クリーンエネルギーへの移行が現実的に可能かどうか、この取り組みが日本の経済成長を促進する上でどの程度適合するかについて、専門家に話をきいた。
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エネルギーの未来におけるガスの役割

ロシア科学アカデミー中国・現代アジア研究所日本研究センターの上級研究員であるコンスタンチン・コルネエフ氏によれば、グリーン・トランジションへの取組みは今、非常に面白い構図になっているという。

「先日、水素エネルギーの展望に関するIEA(国際エネルギー機関)の報告書が発表されましたが、それによると、水素エネルギーの先の見通しは非常に不確実であることが分ります。カタールのエネルギー相の言う通り、天然ガスはこれからも続きます。脱炭素戦略は天然ガスから始まります。なぜなら、石炭と石油の燃焼によって排出されるガスの方がより有害だからです。 天然ガスはCO2排出量がはるかに少なく、環境に優しいです。さらに、天然ガスの埋蔵量は非常に多く、石油の場合はそうは言えません」

またコルネエフ氏は、エネルギー分野では現在、経済的視点から、目的にかなった採掘可能な埋蔵量について話し合われることが多くなっていると指摘。例えば、新しい油田が発見されているが、その開発には経済的観点から莫大な費用がかかるため、実現に至っていないと述べている。

「ドイツを含め多くの欧州諸国が天然ガスを手放そうとしないのはそのためです。日本も現段階で石炭火力を天然ガス火力に置き換えています。つまり、2050年までは天然ガスが重要な役割を果たし続けます。将来的には、再生可能エネルギーが開発され商業化されるにつれて、天然ガスの役割は当然減少するでしょう。しかし、100年先をみたとしても、天然ガスを放棄するような現実的な状況は考えられません」

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100年後のエネルギー資源 日本人はどうすべきか?

遠い未来の話をした場合、日本はグリーンな代替エネルギーに完全に移行する原動力をみつけることができるのだろうか?

「再生可能エネルギー(熱エネルギーやバイオ燃料、いろんな形態の水素)を含むハイテク技術開発の大半は、国からほぼ90%の補助金を受けています。民間企業が競争力を失うのであれば、なぜ彼らが脱炭素化しなければならないのか、そこに論理を見つけるのはとても難しいです。ここに重要なニュアンスがあります。根拠に基づいた答えが必要です。つまり日本経済の体系的な成長のための資源は、事実上枯渇しているということです。国の経済は再生可能エネルギー資源獲得に向けたエネルギー消費の根本的な改革を何によって行うことができるのでしょうか?日本は高齢化が進み、労働市場にでてくる若者がますます減少しています。これでは中国やインドです」

コルネエフ氏は、近代的な生産過程を構築するためには、日本はとりわけ人的資源に投資する必要があるとまとめた。
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