報道によると、ウクライナ最高議会のイワンナ・クリンプシュ=ツィンツァゼ議員は、マッカーシー氏の解任について「強く動揺している、これは私達にとって災害だ」と述べている。
また、記事では解任劇によって、将来の軍事支援が宙ぶらりんの状態になっていると指摘されている。米国内の政治的混乱の増長が、今後の資金・軍事供与の脅威となっている。
ウクライナ政府は、できるだけ米国の政治危機の影響を小さく見せようとしている。政治家も「恩知らずだ」との批判を避けるために、公の場での反発は避けているが、個人的な会話になると恐怖や当惑をみせる議員もいるという。それもそのはず、最も頼りにしていた軍事的同盟国が、急に頼りないものに見えるようになったからだ。
「これにいいことは何もない。簡単にいえば、我々は米国の国内政治の人質になったのだ」
このほか、匿名を条件にメルコゼロワ氏の取材に答えた議員は、今回の解任劇を「仕組まれたことだ」と述べたという。
マッカーシー米下院議長の解任
米下院で3日に行われた採決の結果、マッカーシー氏の解任には216人が賛成し、210人が反対票を投じた。下院議長の解任は、米国史上初めてのことであった。
マッカーシー氏の解任を求める動議を提出したのは、同じ共和党所属のマット・ゲーツ議員。マッカーシー氏が「シャットダウン(政府閉鎖)」を避けるために民主党と妥協し、45日間にわたって政府への資金提供を継続する予算(いわゆる「つなぎ予算」)を成立させたことを非難。また、ウクライナへの資金提供を目的としてジョー・バイデン大統領との「秘密協定」に合意した疑いがあると指摘していた。
解任動議の可決を受け、下院は11日まで休会となった。それまでに次の下院議長選出に向け、各会派が候補者選定などの準備を進める。11月17日までが期限の「つなぎ予算」ではウクライナ支援が含まれておらず、バイデン政権が要請している240億ドルの経済・軍事支援の議論は、次の議長が決まるまでは完全にストップする。ただでさえ与野党対立、共和党の内部闘争で混乱するなか、議長選出が長期化すれば、支援予算の成立は一層遠のくこととなる。
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