現在、うつ病治療でもっとも頻繁に使用されているのは錠剤タイプの抗うつ薬。治療を繰り返し試みても、病気の症状が持続する患者がいる。
研究チームは、脳内のドーパミンを活性化させるエスケタミンを配合した点鼻スプレーを開発した。ドーパミンは、人が喜びを感じると血液中に放出される神経伝達物質。
点鼻スプレーの有効性を評価する研究には、約800人が参加した。全員がうつ病を患い、医師の指示に従って錠剤を服用していた。参加者たちは2つのグループに分けられ、そのうちの1つのグループは錠剤タイプの抗うつ薬に加えて点鼻スプレーを32週間使用した。別のグループは、統合失調症の治療に使用される抗精神病薬クエチアピンXRを服用した。
実験開始から8週間後、1つ目のグループの患者の27.1%が寛解に至った。2つ目のグループで寛解したのは17.6%だった。さらに24週間後には、スプレーを使用した参加者の約半数が健康状態の改善を指摘した。
治療効果の他に、安全性のパラメーターの評価も行われた。スプレーを使用することによって副作用が起こる可能性は低いことが示された。
研究チームは、心理療法など、寛解を維持するために追加で行う治療方法を見つけるために、さらなる研究を実施する意向。
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