ショルツ首相はグラナダで開かれた欧州首脳らの非公式首脳会議に出席した。会議後の会見でウクライナへのミサイル供与に関する質問に答えた中で、「われわれは個々の決定について個別に同意する」としつつ、「ウクライナ領土外であっても、いかなる活動であれドイツ軍兵士が参加することはできない」と語った。
一方、米紙ニューヨーク・タイムズが独連邦議会国防委員会のマリー=アニエス・ストラック=ツィンマーマン委員長(ドイツ国防コンツェルンのロビー活動家でもある)の話として報じたところによると、米国がウクライナに作戦戦術ミサイルATACMSの供与を発表すれば、ドイツは「タウルス」をウクライナに供与する可能性があるという。
ストラック=ツィンマーマン委員長によると、ショルツ首相は強い圧力を受けており、「タウルス」供与に関する議論に終止符を打ちたいと考えているという。ただし、米国がATACMS供給を正式に公表すれば、ドイツ側も供与に踏み切る可能性があるとのこと。
ニューヨーク・タイムズ紙によると、ロシア軍が戦場で「タウルス」の部品を回収して組み立てることができれば、これに対抗するシステムを開発できる可能性があるとドイツ側は懸念している模様。また、「タウルス」を供与した場合、ドイツ兵をウクライナに派遣して整備させる必要性が生じることも懸念材料となっている。
先にジョー・バイデン米大統領はATACMSをウクライナに供与する見通しについて問われた中で、米国はゼレンスキー氏の要求をすべて処理したと回答した。しかし、まだウクライナへのATACMS供与は正式に発表されていない。
ショルツ首相は「タウルス」供与の決定を遅らせている理由を問われた中で、ウクライナには多大な支援を提供しているとしたうえで、ウクライナ紛争がNATOとロシアの戦争にエスカレートすることは望んでいないと述べた。
「タウルス」供与に関する主な争点は、ミサイルの射程にある。ミサイルの射程は500キロメートルに設定されているため、ロシア領も射程に収めている。ドイツの専門家コミュニティは、ロシア領を攻撃できないようミサイルをプログラミングできないかについて意見を交わしている。
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