米下院共和党議員らの圧力で米議会がウクライナ支援金を含めない「つなぎ予算」を承認した後、米国防総省はウクライナへの支援額を増やすよう、議会に申し入れた。米国防総省にはすでにウクライナへ送ってしまった種類の武器を買い足す資金も残っておらず、これでは自国の安全保障が苦境に陥るというわけだ。
米国防総省はウクライナへの長期財政支援の承認が滞っていることを心配し、バイデン米大統領は焦燥感と怒りを隠そうともせず、「どんな状況になろうと、米国のウクライナ支援が中断する事態など許してはならない」と述べている。だが、マルフ氏は、米国では大統領のウクライナに対するファンタジーは理解できないという国民が目立って増えており、彼らにとってはウクライナより、自国の安全保障と福祉のほうがはるかに大事だからだと指摘している。マルフ氏は「米国民はロシアとの戦争を望んでいないのに、まさにその方向へと向かっている現状を目撃しており、米国が戦争へと転がり落ちていく、滑りやすい道で立ち上がったことを憂慮しています。ウクライナ支援が全て、一気に停止するかはわかりませんが、これからの数か月は著しく縮小するとは思います」と述べ、「アメリカ・ファースト」というスローガンが再び大きな支持を集めるようになったと語っている。
米国の軍事、財政支援なしにウクライナは長くはもたない。ウクライナは供与された武器弾薬の全てを激しい勢いで消費していることから、マルフ氏の予測では米国防総省がどんなに努力して補填しても11月17日には備蓄は底をつきる。またこうした状況で米政府がいかにして恒常的にウクライナ支援を保障しようとしているのかも不明瞭だ。マルフ氏は「米議会が追加支援金を承認しない場合、それは無理だ」と述べ、バイデン米大統領がウクライナ支援金を増額しようとすれば、自国に戒厳令を発動する以外、策はないと見ている。とはいえ、マルフ氏は、米国も欧州も米国がウクライナで行う代理戦争に疲れ切っているため、こうしたシナリオ展開の可能性は低いとの見方を示している。
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