住人の半数が対象
「現地時間の日付が変わる少し前(日本時間午前6時前)、国連人道問題調整事務所とガザ警備安全保障省に対し、24時間以内にワジガザ以北のガザ住人が南部に避難するようイスラエル側から通達があった」
デュジャリック報道官によると、対象となるのは110万人。ガザ地区の人口は222万人といわれており、実に住民の半数が警告対象となっている。
また、現地の学校や医療機関に展開する国連職員も避難の対象となっているが、国連はこうした人道活動は移転すれば「壊滅的な人道的結果を生む」と指摘。デュジャリック報道官は、国連はイスラエルの要求に断固として反対するとして、「すでに起こった悲劇が、大惨劇に発展しうる」と懸念を示した。
イスラエルは自衛権主張
国連からの批判を受けイスラエルのギラド・エルダン国連大使は、デュジャリック報道官の声明を「恥ずべきものだ」として反発。「国連は長きにわたりハマスの武装化と彼らが武器や殺人を隠すために民間人や民間インフラを利用するのに目をつぶってきた」と述べた。
「ハマスのテロリストによって国民が殺され、これに関与した者以外の犠牲を最小限に抑えようとしているイスラエルを支持する代わりに、国連はイスラエルに説教をしている。国連は人質の解放やハマス批判、イスラエルの自衛権の支持に注力したほうがいい」
ハマス掃討作戦まもなくか
10月7日、ガザ地区を実効支配するイスラム組織・ハマスはイスラエル南部と中部に向けて突如ミサイル攻撃を行い、一部の地上部隊がイスラエル側に越境攻撃した。ハマスの奇襲攻撃を受け、イスラエル軍はガザ地区への空爆などの報復作戦を開始。第四次中東戦争以来50年ぶりとなる正式な「戦争状態」への移行を宣言した。これまでに双方の死者は合わせて2500人に達したとみられている。
ハマスの奇襲後、イスラエル軍は30万人の予備役を動員。また、議会では与野党が戦時下での挙国一致内閣を樹立させた。米国からの弾薬支援も受けるなど、本格的な地上作戦を準備しているとされる。
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