IT・科学

欧州では森林がほぼ完全に伐採 ロシアは地球の肺になった

ロシアの領土は森林と湿地が豊富なため、排出するよりも多くの二酸化炭素を吸収している。学者たちはこのように主張している。スプートニクの特派員は、カレリア共和国のタイガにある気候変化物質を監視するための国家システムの最初の観測ステーションの1つを訪れ、これを確認することができた。
この記事をSputnikで読む
ロシアはすでにカーボンニュートラルの達成に向けて多くのことを行ってきたが、近年、大量の二酸化炭素を排出する大規模な森林火災の増加や、メタンの放出を伴う永久凍土の活発な融解によって、状況は複雑化している。
現在、大気中のこれらの温室効果ガスの含有量は、ティクシ、コラ半島、ヤマル半島、サンクトペテルブルク郊外、モスクワ州のプリオスコ・テラスヌイ自然保護区にあるロシア水文気象環境監視局の5つの観測ステーションで定期的に測定されている。
2025年までに、地上で得られたデータと宇宙または無人航空機から得られたリモートセンシングの結果を統合する、全ロシア温室効果ガス監視システムが稼働する予定。
そして、ロシア水文気象環境監視局の観測ステーションの数は1300に増加する。

カレリア共和国のタイガ

現在、ロシア水文気象環境監視局の5つの観測ステーションは、それぞれの気候帯における炭素の流れを分析している。したがって、スプートニクの特派員が訪れたカレリア共和国のタイガにある観測ステーションでは、松林が優勢な生態系の調査が行われている。学者たちが、その生態系における炭素の蓄積と移動の変化を追跡し、将来の気候変動をシミュレートしている。
カレリア共和国にある観測ステーションの大きさは標準的な2キロ×2キロで、そこに生えている木はそれぞれGPS座標を入力して登録されている。樹木の高さ、直径、樹齢に関するデータは5年ごとに更新される。学者たちは1シーズンに3回、伐採された枝や幹の化学分析を行い、それによって木の中に蓄えられている炭素を測定することができる。
IT・科学
地球温暖化の防止にクジラが効用
カレリア共和国の観測ステーションのスタッフたちによると、森林生態系には生きている木の他に、二酸化炭素が蓄積する場所が3つある。それは土壌、下層土、死んでいる木(枯れ木、倒木、切り株)。これらの場所には、森林システムの炭素全体の半分以上が含まれているという。土壌中の炭素の分布は、直径20センチ、深さ最大1メートルの穴を掘って、そこから土壌サンプルを採取して評価する。生きている植物、藻類、地衣類、枯れた枝や葉も分析所に送られる。土壌から排出される二酸化炭素の量は、ガス測定器で測られる。
その結果、森林が気候にどのような影響を与え、調整しているのかを最大限正確に把握することができる。最近の研究結果は、カレリア共和国とロシア北西部地域全体の生態系が、排出するよりも多くの二酸化炭素を吸収していることを示唆した。なお、森林は何世紀にもわたって炭素を貯蔵し、湿地は何千年にもわたって炭素を蓄積し、ロシア全体にプラスのバランスをもたらしている。一方、例えば、欧州では森林がほぼ完全に伐採され、湿地は干上がっているため、自然が温室効果ガスの増加にもはや対処できなくなっているという。
これより先、スプートニクは、どうしてロシアの湿地が地球温暖化から世界を救うことができるのかについて報じた。
関連ニュース
温室効果ガス削減の努力不十分、国連が各国に苦言
エコサイドとの戦い 動物、木、川に法的権利を与えるよう呼びかけられる
コメント