コンピュータゲーム会社は、約3000億ドルの価値があるゲーム産業の一部をめぐってしのぎを削っている。そして一連の買収によって、巨大企業4社と大胆かつまだ親会社を持たずに独立した経営をしている大きな企業グループが残った。
巨人ソニー
ソニーは2023年も世界最大のゲーム会社であり続けるだろう。この日本の巨大テクノロジーメーカーは、利益の大部分をゲームから得ており、その昨年の利益は259億6000万ドルだった。電機メーカーの巨人であるソニーは、1994年以降、 5億7000万台以上の家庭用ゲーム機「プレイステーション」を販売してきた。
ソニーは、子会社のソニー・インタラクティブエンタテインメントを通じて、「スパイダーマン」などのプレイステーション用ゲームを開発するインソムニアックやハウスマークなどの多くのゲーム開発会社を管理している。
ソニーは2022年1月、「Halo」や「Destiny」などのゲームを開発したバンジーを36億ドルで買収してポートフォリオを強化した。一方、「Halo」は今もマイクロソフトが所有している。
ソニーは2022年4月、ゲーム「フォートナイト」の開発を手掛けるエピックゲームズにも20億ドルを出資した。
マイクロソフト
世界最大のソフトウェア会社マイクロソフトは、世界第2位のゲーム会社でもある。同社の2022年のゲーム利益は162億ドルだった。一方、売上高74億ドルのアクティビジョン・ブリザーの買収により、マイクロソフトはゲーム業界最大手の座をめぐってソニーとバトルを繰り広げる可能性がある。
マイクロソフトは家庭用ゲーム機Xboxを開発しており、これまでの買収を通じてすでに「マインクラフト」「エルダー・スクロールズ」「フォールアウト」などのゲームを管理下に置いている。
世紀のゲーム取引
マイクロソフトは、アクティビジョン・ブリザードを687億ドルで買収するというゲーム業界で史上最高額の取引を完了した。2022年1月、マイクロソフトはアクティビジョン・ブリザードを買収する意向を発表した。米国と英国の独占禁止規制当局の調査により、買収手続きは20か月に及んだ。2023年10月13日、必要なすべての当局が買収を承認したことがわかった。
マイクロソフトは買収完了を受け、同社の傘下となったアクティビジョン・ブリザードが手掛けるゲームの映像を含む動画を公開した。そこには「コール オブ デューティ」「スタークラフト」「ワールド オブ ウォークラフト」「ディアブロ」「オーバーウォッチ」「キャンディークラッシュ」などが含まれている。
テンセント
中国のゲーム大手テンセントの売上高は139億ドル。売上高で世界最大級のゲーム会社だ。テンセントはアジア市場に君臨し、世界中のゲーム開発会社に投資している。同社は、スマートフォン向けのオンラインゲームやモバイルゲームなどに特化している。
テンセントは、大ヒットゲーム「リーグ・オブ・レジェンド」を開発したライアットゲームズを傘下に持つ。また2016年、テンセントはフィンランドのゲーム開発会社スーパーセル(「クラッシュ・オブ・クラ」「クラッシュ・ロワイヤル」「ブブロスタ」)を当時最高額の86億ドルで買収した。
テンセントは現在、ユーザーがクラウド経由でゲームをダウンロードしたりプレイできるオンラインプラットフォームGame Passで「ゲーム界のネットフリックス」になることを目指している。
任天堂
任天堂は、「マリオ」「ゼルダ」「ポケモン」などの自社作品に賭けることで同業界における買収ラッシュから距離を置き、競合他社と一線を画している。任天堂のゲームによる昨年の売上高は138億ドルだった。同社は自社のゲーム機スイッチにも力を入れている。スイッチは2017年3月の発売以来、1億2953万台以上を売り上げている。
強くて独立した経営をしている企業
多くの開発会社はまだ巨大メーカーの手に落ちていないが、近い将来、彼らの標的なる可能性がある。
テイクツーは、米国を代表する大手ゲーム開発会社で、「グランド セフト オート」「NBA 2K」「ッド・デッド・リデンプション」などの人気ゲームを手掛けている。また同社は、農業ゲーム「ファームビレ」を開発したモバイルゲーム開発会社Zyngaの買収に127億ドルを投じ、自らも買収ゲームを行っている。
「ソニック」シリーズを生みだしたセガも買収ゲームに参加し、「アングリーバード」などのゲームを手掛けるゲーム開発会社ロビオを7億7000万ドル以上で買収することを提案した。
その他の大手独立系企業として、エレクトロニック・アーツやユービーアイソフトなどがあり、これらの企業は数十億ドルの評価額を誇っている。