イスラエル・パレスチナの紛争激化

【まとめ】ガザ病院爆撃で分かっていること ハマス、500人死亡と発表 イスラエルは関与否定

パレスチナ・ガザ地区を実効支配するイスラム組織・ハマスは17日夜、ガザ市中心部の病院へのイスラエル軍の攻撃で、500人が死亡したと発表した。一方、イスラエルは関与を否定している。
この記事をSputnikで読む

食い違う主張

ガザ地区の保健省は17日、ガザ市中心部のアリ・アフリ病院へのイスラエル軍の攻撃によって500人以上が死亡したと発表した。犠牲者のほとんどは女性や子どもだったとしている。
ハマス政治部門トップのイスマイル・ハニヤ氏は、イスラエルとその後ろ盾となっている米国を非難した。

「この虐殺の責任は同じ場所にあった病院やモスク、教会を攻撃した敵と、その敵を無制限に支援して大虐殺を看過した米国にある」

イスマイル・ハニヤ
ハマス政治部門トップ
一方、イスラエル放送局のi24は、ハマスによるロケット弾発射の失敗が原因の可能性があるとしてイスラエル軍が捜査を進めていると報道。その後、イスラエル軍は悲劇の責任はガザ地区のイスラム武装組織「イスラム聖戦」にあると主張した。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相も通信アプリで、攻撃への関与を否定している。

「ガザの病院を攻撃したのはガザの野蛮なテロリストであり、イスラエル軍ではないと全世界が知るべきだ。奴らは我々の子どもを殺し、自らの子どもも殺しているのだ」

ベンヤミン・ネタニヤフ
イスラエル首相

世界の反応

攻撃を受け、パレスチナ・ヨルダン川西岸地区のトップ、マフムド・アッバス議長はイスラエルを強く非難した。

「イスラエルはガザ病院への攻撃で恐ろしい軍事的虐殺を行った。国連安全保障理事会によるイスラエル非難を呼びかける」

マフムド・アッバス
パレスチナ解放機構議長
このほか、エジプトやヨルダン、シリア、イラク、トルコ、イランといったイスラエルと対立するイスラム諸国のほか、キューバやベネズエラなどもイスラエルの責任を追求している。
一方、日本や欧州連合、フランス、英国、スペイン、オランダなどの西側諸国は、攻撃を非難しながらも責任の所在の明言は避け、情勢を注視する構えだ。共同通信によると、日本の上川陽子外相は「強い憤りを覚え、いかなる理由でも正当化されない」と述べ、全ての関係者に国際法の遵守を訴えた。
今回の攻撃を受け、予定されていた中東訪問中のジョー・バイデン大統領とアラブ諸国との会談は中止になった。米国防総省はイスラエルへの非難は避ける形で、「戦争のルール」を守るよう呼びかけた。また、ホワイトハウスはバイデン大統領がイスラエルに対し「友人としていくつかの難しい質問を投げかける」としている。
また、ロシアのマリア・ザハロワ報道官は、スプートニクラジオの番組に出演した中で、「攻撃は犯罪で人間性を奪う行為だ」と強く非難。「衛星写真を見れば誰が撃ったか明らかだ」と述べた。また、露元大統領で現在は安全保障会議の副議長を務めるドミトリー・メドベージェフ氏は、最終的な責任は、「戦争で金儲けをしている米国にある」との考えを示した。
イスラエル・パレスチナの紛争激化
ガザ病院攻撃は「人間性失う行為」=露外務省報道官

イスラエル・パレスチナ紛争の激化

10月7日、ガザ地区を実効支配するイスラム組織・ハマスはイスラエル南部と中部に向けて突如ミサイル攻撃を行い、一部の地上部隊がイスラエル側に越境攻撃した。ハマスの奇襲攻撃を受け、イスラエル軍はガザ地区への空爆などの報復作戦を開始。第四次中東戦争以来50年ぶりとなる正式な「戦争状態」への移行を宣言した。
ハマスの奇襲後、イスラエル軍は30万人の予備役を動員。また、議会では与野党が戦時下での挙国一致内閣を樹立させた。米国からの弾薬支援も受けるなど、本格的な地上作戦を準備しているとされる。
イスラエルのガラント国防相はこれまでに「ハマスは地球上から一掃される」と徹底的な報復を予告。イスラエル外務省も「ガザ地区で戦略的目標をすべて達成するまで軍事作戦を継続する」と妥協を一切許さない強硬姿勢を示している。
ロシアは双方に即時停戦と交渉の再開を呼び掛けている。ウラジーミル・プーチン大統領はこれまでに、紛争を解決するためには、パレスチナの独立主権国家樹立に関する国連安全保障理事会の決定を履行する必要があるとの考えを示している。
関連ニュース
【解説】ハマスのイスラエル奇襲はなぜ成功したか 破られた壁
【視点】犯人探しはイランにたどり着かない イスラエルは警告を受けたが確かめなかったのか?
コメント