木村氏は2014年8月にクリミアを初訪問して以来、10回にわたって現地を訪れ、政府要人や住民との懇談を重ね、日本文化を広める活動を行ってきた。今回、4年ぶりにロシアを訪問した理由について、ロシアの状況を自分の目で見たい、また、会議の参加者から各国の状況を直接聞きたかった、と話している。
クリミア友人会議で発言する一水会の木村三浩代表
© 写真 : Asuka Tokuyama
「おおむね、日本の報道とは真逆な意見が多かったように思います。ロシアとウクライナの関係を見ても、細かな事実関係やクリミアの人々の自己決定権に至る背景も見て、それぞれの問題を奥まで入って掘り下げてみなければ、と再認識しました。あらためて、2014年3月16日のクリミア住民投票による自己決定権でロシアに帰属したことを全面的に尊重します。西側メディアはロシアがクリミアを武力によって奪ったように国際プロパガンダを行い、日本を含む各国はクリミアに経済制裁を科しています。これはクリミアの人々の人権、生存権を否定するもので、私はそれに断固反対します」
また木村氏は、ウクライナ紛争については停戦を訴え、ゼレンスキー政権の米国依存度が高すぎることを危惧している。
「一日も早くロシアとウクライナの停戦があればよいですが、ウクライナでは2022年10月に、ロシアのプーチン大統領との停戦に向けた交渉は不可能だと明記した大統領令が出ています。停戦のためには交渉が必要ですが、ロシアが話し合いに応じようとしても向こうが応じない。大統領令を解除することから出発しなければならないと考えます」
友人会議には、イタリアやオーストリア、チェコ、セルビア、イスラエル、トルコ、インド、中国、エジプト、ガーナ、キューバなど、様々な国の人々が参加した。ガザ地区出身のパレスチナの代表も来ており、現在の中東の惨状について、パレスチナの人々の苦しみを直接聞く機会もあった。
クリミア共和国議会のコンスタンチノフ議長と
© 写真 : Mitsuhiro Kimura
クリミア友人会議は共同声明の中で、米国の覇権を前提とした一極集中の世界はもう通用しないと主張した。
木村氏は「会議の内容や日常のモスクワについて、日本に帰ったら生の声を届けたい。日本や西側メディアだけの情報はやはり偏っており、それにばかり基づいて考えてはいけない。日露は、衝突や対立を経験しながらも、隣人として手を取り合ってきた歴史がある。今後も民間外交で人的交流を進め、文化芸術、武道等のスポーツや医療など様々な面で、交流が発展することを願っている」と話している。
関連記事