イスラエル・パレスチナの紛争激化

米国の国連決議案はガザ住民に対する殺戮の免状=露国連大使

ロシアのワシリー・ネベンジャ国連大使は米国が国連安保理に提出した中東紛争の調停決議案に対し、イスラエル軍がパレスチナ・ガザ地区で地上作戦を行うことを許可するものに他ならないと説明した。
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ネベンジャ国連大使によると、米国の決議案にはイスラエルによるガザ地区での地上作戦を一切制限するものではないという。そのうえで、米国の決議は地上作戦に対する「安保理の許可」となりえるとし、「パレスチナ人の子供たちが何千人も命を落とす」とし、「安保理をそのような決議で拘束してはならない」と強調した。さらに米国の地政学的利益に仕することを目的とした決議案を支持することに意味はないとした。
国連安保理では25日、イスラエル・パレスチナ紛争に関する会合が開かれた。米国の決議案には10ヵ国が賛成、モザンビークとブラジルは棄権。ロシアと中国のほかUAEも反対票を投じた。
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中国の張軍国連大使は声明で、米国の決議案に停戦呼びかけが含まれていないとして拒否権を発動したことを説明した。ロシア、中国、UAE、ブラジルは修正案を米国に提案したものの、米国は実質的な変更は行わなかったとのこと。
その後、ロシアが即時停戦を求める決議案を再び提出した。中国、ロシア、ガーナ、UAEの4か国が支持した一方、米英が反対、さらに9か国が棄権して否決された。
ロシアは決議案の中で、即時かつ持続可能な停戦を求めたほか、双方による民間施設への攻撃を非難。また、ガザ地区住民の移動命令撤回も含めていた。さらに、ロシア側は人質の即時無条件解放を求めていた。
ハマスの指導者、イスマイル・ハニヤ政治局長は声明を発表し、国連安保理におけるロシアと中国の立場を高く評価した。ハマスは声明で「占領(イスラエル)側に立つ米国の決議を(露中が)妨害したことを高く評価する」と指摘している。
先に米国はブラジルの人道決議案に拒否権を発動していた。この決議案で反対票を投じたのは米国だけだった。
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イスラエル・パレスチナ紛争の激化

10月7日、ガザ地区を実効支配するイスラム組織・ハマスはイスラエル南部と中部に向けて突如ミサイル攻撃を行い、一部の地上部隊がイスラエル側に越境攻撃した。ハマスの奇襲攻撃を受け、イスラエル軍はガザ地区への空爆などの報復作戦を開始。第四次中東戦争以来50年ぶりとなる正式な「戦争状態」への移行を宣言した。これまでに双方の死者は合わせて6400人を超えた。
ハマスの奇襲後、イスラエル軍は30万人の予備役を動員。また、議会では与野党が戦時下での挙国一致内閣を樹立させた。米国からの弾薬支援も受けるなど、本格的な地上作戦を準備しているとされる。
イスラエルのガラント国防相はこれまでに「ハマスは地球上から一掃される」と徹底的な報復を予告。イスラエル外務省も「ガザ地区で戦略的目標をすべて達成するまで軍事作戦を継続する」と妥協を一切許さない強硬姿勢を示している。
ロシアは双方に即時停戦と交渉の再開を呼び掛けている。ウラジーミル・プーチン大統領はこれまでに、紛争を解決するためには、パレスチナの独立主権国家樹立に関する国連安全保障理事会の決定を履行する必要があるとの考えを示している。
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