計画の本質
APによると、イスラエル情報省が作成した文書に記載されている日付は10月13日。同文書を最初に公開したのはイスラエルのニュースサイトSicha Mekomit。イスラエル情報省は、「ハマスの犯罪を念頭に置いたガザ地区の民間人の現実における本質的な変化」を実行するために計3つの選択肢を提案した。
そのうちの1つは、ガザ地区の民間人をシナイ半島北部の一時的なテント都市に移住させ、その後、そこに恒久的な都市を建設して人道回廊を確立し、イスラエル領内にはパレスチナ難民の入国を阻止するための安全地帯を設置するというもの。
APによると、この計画にはガザ地区をパレスチナ自治政府の管理下に置いたり、またはガザ地区の新政府設立への支援は含まれていない。
イスラエルの反応
APは、イスラエル当局はこのような計画の存在を認めたと報じている。一方、消息筋によると、イスラエル首相府はこれは仮説的な計画としているという。
テルアビブにある国家安全保障研究所のヨエル・グザンスキー上級研究員はAPに対し、このような計画の存在はイスラエルとエジプトの「戦略的分裂」を引き起こす可能性があると語った。
エジプト当局の反応
エジプトのマドブリ首相は10月31日、エジプトはイスラエルの圧力には屈せず、ガザ地区からのパレスチナ難民を受け入れないことを確認した。中東の衛星テレビ局アルアラビーヤが報じた。
エジプトのシシ大統領は10月中旬、エジプトは「軍事的手段またはパレスチナ人を彼らの土地から強制的に移住させることでパレスチナ問題を解決しようとするいかなる試みも拒否する」と述べ、このようなことは地域の国々を犠牲にして行われることになるとの見方を示していた。
フィナンシャル・タイムズ紙は消息筋の話として、イスラエルのネタニヤフ首相はガザ地区からの難民受け入れをめぐってエジプトに圧力をかけるよう欧州の首脳らを説得しようとしたと報じた。同紙によると、ドイツとフランスは欧州連合(EU)内で難民問題が続いていることを指摘し、ネタニヤフ首相の提案を支持しなかったという。
パレスチナ当局の反応
このような文書の存在は、パレスチナの不満を引き起こした。パレスチナ大統領府のナビル・アブ・ルデイネ報道官はAPに対し、同計画によるガザ住民の大規模移住は「新たな宣戦布告に等しい」と語った。
「我われはどこであれ、いかなる形であれ、ガザ住民の移住には反対だ。これは超えることを許容できないレッドラインである」
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