円の為替レートの変動が注目されるのは、円が基軸通貨に入っており、外国為替取引の17%を占める通貨として世界で活発に取引されているからだ。今年にはいって円安は7%以上進んだ。日米の債券利回りの差が拡大したのがその原因だが、これには日銀の小幅な利上げもほとんど変化を及ぼさなかった。
神田 眞人財務官も、急激な円安は日本経済に大きな悪影響をもたらすものと指摘していた。
この状況について、ロシアの投資企業「フィナム」のアナリスト、アレクサンドル・ポタヴィン氏は次のようにコメントしている。
「円の急落は、その背景には、最近行われたマイナス金利解除にもかかわらず、日銀の金融政策はしばらくの間は適応的な姿勢を維持すると読んでの投機があった。28日、米ドル/円は1ドル151.4円前後で取引されている。つまり、最近の最高値からやや下がっていることを意味する。円安がさらに進んだ場合、断固とした措置を講じる用意があることを政府が投機筋に示したからだ。財務省、日本銀行、金融庁は緊急会合を開き、国際金融市場の状況について協議した。鈴木俊一財務相は27日、2週間で4%の為替変動は望ましくなく、市場の動きを注視していると述べている
市場参加者は、1ドル=152円を超えた場合、日銀は円買いドル売りによる為替レート調整を始めうるとみている。ただし、2023年10月から12月までの期間は為替介入は行われていない。日本は、必要とならば円相場の安定維持を図るための大きな資金を抱えている。日本の準備資産は2024年2月の時点で総額1. 281兆ドル(193兆円)。これには1兆1450億ドル(173億円)の外貨準備も含まれている」
ポタヴィン氏は、日本銀行は長い間、輸出競争力を維持し、インフレ目標を達成できる円安は日本経済に好都合と考えてきたと指摘する。 しかし円安は長期的には日本の経済成長の梃にはなりえない。