実際のところ、他国も含めた3か国の協力はすでに行われている。日本、米国、フィリピン、オーストラリアは4月上旬に共同訓練を行った。日米比はこれまでに海上警備の訓練も実施している。共同声明では、日米豪印のクアッドや米英豪のオーカスなどの枠組みにおける共同努力を活発化する意向も反映された。
米国は近年、インド太平洋地域でその軍事プレゼンスを明らかに増大させ、同盟ネットワークを構築しており、そこでは日本、韓国、フィリピンに特別な役割が与えられており、それらの国の領土は中国との競争の拠点として使用することができる。バイデン米大統領は忠誠と引き換えに、日本とフィリピンに対する米国の防衛義務は鉄壁だと発言、地域のインフラプロジェクトへの投資による経済的利益を約束した。
今回の3か国首脳会談はアジアにおける新しいタイプの軍事同盟構築の第1段階終了を示している。モスクワ大学付属アジア・アフリカ諸国大学のアレクセイ・マスロフ学長はスプートニクのインタビューでこのように述べ、次のように語った。
「米国はアジアにおける新たな軍事同盟の構築を計画通りに実行しており、その形式は機能面でNATOを上回る可能性がある。ここ数年にわたって米国は中国のネガティブなイメージを作ってきた。そして米国と日本、オーストラリア、韓国、フィリピン、その他多くの国々との関係は、長期的な反中国の基盤の上に築かれている。一方、紛争の原因は中国よりも米国によってつくり出される可能性が高い。
アジアにおける『同盟ネットワーク』は、中国の脅威に共同で対処する一大システムだ。しかし、これは存在しない脅威である。確かに中国と日本、中国とフィリピンの関係、そしてこの地域全体には領土問題を含む多くの対立や未解決の紛争が存在している。それらは歴史的な性格を有しており、何年も続いている。しかし、国家は自制することを学び、係争中の問題があっても相互貿易をし、協力し、関係を発展させている。そして中国が問題の軍事的な解決を支持したことはない。中国の悪魔化は米国の仕業だ。
実際に米国は中国を強力な経済的ライバルと感じ、東南アジア諸国の経済に対するコントロールを失い、『中国の脅威』に焦点を当てて安全保障問題に重点を置こうとしている。これに関連して、軍事同盟と『クアッド』及び『オーカス』の形式が発展している。一方、これらへの参加は緊張のさらに高め、不信感を増大させ、地域の国々を敵対する陣営に分裂させることになる」