日本のAUKUS加盟で、地域諸国との関係はどうなるか?

英国は、日米のアジア太平洋地域における共同演習に来年、2025年に参加の意向を表明した。その一方でAUKUS加盟国の英国、米国、オーストラリアは、日本の加盟に期待しており、今のところ、核の要素を含まない協力のいわゆる「第2の柱」(PILLAR II)について話し合いを行っている。これは、水中技術、量子コンピューター、AI、サイバーセキュリティ、電子戦、極超音速ミサイルとその迎撃手段、情報交換技術などの分野における防衛装備の共同開発を想定した協力だ。
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日本は、この協力がもたらす影響をまだ検討中だが、同盟諸国との関係は継続するつもりである。日本の閣僚の間では意見が分かれており、中国に対抗するためにAUKUSに参加する必要があるという意見もあれば、日本は同盟各国との二国間協力で十分だという意見もある。AUKUSとの合同演習や接触強化は、すでに複雑化した日本と他のアジア太平洋諸国との関係をさらに困難するのだろうか。ロシア科学アカデミー中国・現代アジア研究所、日本研究センターのオレグ・カザコフ主任研究員は次のように考えている。

「日本が原子力潜水艦に関するAUKUSとの協力の第1の柱に参加する可能性はまずない。日本は核を『持たず』『つくらず』『持ち込ませず』という非核三原則を堅持している。つまり日本が、軍事目的で核計画に参加することは、反日感情をぬぐいきれない国はもちろん、日本人自身にとっても極めて苦痛をもたらす。だが、政府が第2の柱に参加する可能性はかなり高い。それは、日本がAUKUSに正式に加盟するのではなく、技術的なパートナーシップを結ぶという形式になるからだ。この形式のもとで、日本はオブザーバーの地位を与えられる可能性がある。地域諸国の中では、中国と北朝鮮がこれを危惧しているが、ベトナムやマレーシアのような他の多くの国々とは著しい関係悪化は無いだろう。日本は、安全保障分野を含め、政府安全保障能力強化支援(OSA)のもとで、これらの国々に援助を惜しみなく提供しているのだから」

日本がAUKUSに参加しても、地域諸国の大半は、声明を出したり、抗議デモ活動を起こさないと考えるのは、ロシア科学アカデミー中国・現代アジア研究所ベトナム・ASEANセンターの研究員グリゴリー・クチェレンコ氏だ。
「軍事演習については、この地域の国々自身が参加することもあり、今では鋭い反応はない。AUKUSだが、これはNATOとは異なり、軍事同盟ではなく、相互防衛義務を伴わない科学技術・軍産協力に焦点を当てたパートナーシップであることに留意したい。インドネシアはこれに中立的な態度で臨むと思う。今年2月、インドネシアの次期大統領に選出されたプラボウォ・スビアント国防相の最初の仕事は、中国と日本への訪問だった。日本の岸田首相とは、安全保障を含む幅広い問題で協力を強化することで合意した。ベトナムは2023年に米国と包括的戦略パートナーシップ協定を結んでおり、日本とは大規模なインフラ整備を含む、大規模プロジェクトで協力関係にある。 ラオス、ミャンマー、カンボジアは、自国の経済と人材開発への日本の投資を期待しているため、日本と喧嘩することはない。 2023年、岸田首相はラオスへの援助を約束し、ラオス大統領と地域問題やウクライナ危機、北朝鮮のミサイル開発問題などで協力することで合意した。シンガポールとフィリピンは一般的に親欧米国である。だから、日本を非難できるのは、そしておそらく非難するだろうのは、中国と北朝鮮だけだ」
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