「まず、日本に先駆け、早ければ2024年4月にもタシケントでEUと中央アジア諸国の第1回首脳会合が開催され、EUからはウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長とシャルル・ミシェル欧州理事会議長が出席する予定であることを指摘しておきたい。この2つの首脳会合の目的は、中央アジア諸国との協力においてロシアと中国に挑戦することだ。
欧州諸国と日本が中央アジア諸国との関係を活発化する動機には3つの方向性がある。1つ目は、歴史的・地理的パートナーであるロシアや中国とこれらの国の関係にくさびを打ち込むこと。2つ目は、資源の安全保障への『保険』をかけたいという願望。ロシア産原材料の輸入を拒否した日本や西側諸国は代替品を探さなければならなくなった。中央アジアへの関心は、これらの国々に先端産業で需要のあるレアメタルおよびレアアースの鉱床があるため高まっている。3つ目は、貨物輸送と関係している。カスピ海横断国際輸送ルートなど、ロシアを経由しないで欧州へ抜ける輸送ルートの創設だ」
「日本は中央アジア諸国から農産物を輸入することにも関心がある。一方、物流が複雑で輸送コストが高く、それが最終的な価格に影響している。日本はこれらの国々に多くのことを約束し、近代化と人材育成の面で多くの貢献をしている。例えばトルクメニスタンの石油化学分野など、いくつかの本格的なプロジェクトが実現した。しかし、これらはすべて単発のプロジェクトだ。
これらの国々におけるインフラ整備や、ロシア、イラン、中国を迂回する最適な輸送ルートの構築には莫大な投資が必要であり、これはリスクの高い投資でもある。EUは中央アジア諸国に100億ユーロ(1兆6366億円)の投資を約束した。だがこれは、全5カ国に対して数年間という期間で行われるものだ。日本は何を提供できるだろうか?サミットで日本+中央アジア5カ国は、友好と協力について多くの言葉を交わし、約束をし、期待されるプロジェクトについて語るだろう… 一方、世界的な経済危機、政治的混乱、輸送問題を背景に、これらはどう実現されるのだろうか?」