ベロウソフ氏はこれまで、メディアでの露出は比較的少なかったものの、政界での経験値は他の重鎮に引けを取らない。ここではベロウソフ次期国防相がどのような人物なのかを簡単に紹介する。
学者一家に生まれる
1959年3月17日、ソビエト連邦・モスクワ生まれ。父親は経済学者のレム・ベロウソフ、母親は放射化学研究者のアリーサ・パブロブナで希少元素を研究していた。
1982年、モスクワ国立大学経済学部を卒業。2006年には経済学博士号を取得するなど、学歴には申し分ない。
経済の専門家として
ベロウソフ氏は父親と同じ経済学者の道を進んだ。大学卒業後、ソ連末期には中央経済数学研究所、経済・科学技術発展予測研究所に勤務。1990年代には国民経済予測研究所に勤めた。
2006年に経済貿易発展省次官として政界に本格的に進出。2008年には政府経済財政局長に就任した。
メドベージェフ内閣では欧州復興開発銀行のロシア政府代表を務め、2013年からプーチン大統領の経済顧問、2015年からは国営石油企業「ロスネフチ」の重役などを歴任。2020年に誕生したミシュスチン内閣では、第1副首相となった。
「意外」だが「適任」のワケ
非軍人出身の人物が国防相に抜擢されるのはロシア史上2人目で、今回の人事は一部では驚きを持って受け止められた。だが、露大統領府のペスコフ報道官は、「イノベーション、先進的アイデアの導入、経済的競争力の条件創出にオープンである必要があり、だからこそベロウソフ氏が選ばれた」と説明している。
露下院のセルゲイ・ガブリロフ議員は「国家行政のあらゆる分野間の調整、防衛産業の発展、兵器の大量生産などを達成する上で最善の候補者だ」。元国防省幹部で軍事アナリストのイーゴリ・コロトチェンコ氏も「特別軍事作戦の勝利に向け、画期的なアイデアの実現のために必要な改革統合を成し遂げるだろう」と、ベロウソフ氏の抜擢を高く評価している。
ベロウソフ氏には、経済学の知見を生かした職務遂行はもちろん、並一通りではない方法で国防省の仕事を「リフレッシュ」することも期待されている。