ロイド・オースティン米国防長官や米軍制服組トップのチャールズ・ブラウン統合参謀本部議長も「原爆が戦争を終わらせた」という点については同意した。
日本の上川陽子外相は「中東情勢の文脈で、原爆投下を引用した議論を提起したことは受け入れることはできない。核兵器の使用は人道精神に合致しないもので、発言は不適切」と批判。米側に日本側の立場を申し入れたことを明らかにした。
アジア太平洋地域の国際関係に詳しいロシア戦略研究所のウラジーミル・テレホフ氏は、スプートニクに対し、原爆投下の認識をめぐる議論について次のように指摘する。
「原爆投下は、実際に太平洋戦争を終結させるうえで決定的だった。 ともかく、日本軍司令部の士気を大いに低下させた。元防衛大臣である久間章生氏でさえ認めている。彼は2007年、原爆投下は戦争終結に貢献し、日本をソ連の占領から救ったので、米国を恨んでいないと言った。この発言は被爆者団体や野党の怒りを買い、彼は大臣の座を追われた。原爆投下は戦争終結をもたらしたわけではない、だが、戦争を終結に近づけたことは確かだ」
テレホフ氏は、もちろんグラハム議員の発言は非倫理的であり、核兵器の使用を正当化することはできないと指摘。一方、今回の発言が日米関係に影響を与えることはないとも説明する。
「そもそも彼は極端なタカ派として知られている。しかも、日米関係においては何者でもない。米政府は日本との関係を重視しており、1人のタカ派の発言で影響を受けることはない。
だが、このテーマは日本人にとっては非常にデリケートで苦痛を伴うもので、米国はこの話題を避けようとしている。2016年にオバマ前大統領が広島を訪問したとき、原爆資料館を訪れた。そこには原爆投下によって被爆した地元住民の苦しみ、衝撃的な展示があった。報道の立ち入りが禁止されていたので、オバマ氏がそれらを見た後の反応は不明だ。オバマ氏は、核兵器が必要とされない世界を作りたいと語ったものの、日本の人々に謝罪することはなかった。
11月の米国大統領選挙の勝者がトランプであれ、バイデンであれ、他の誰であれ、日本との関係は米国にとって非常に重要だ。グラハム氏の発言は不適切だし、暴言としかいいようがないが」