【視点】米国の原爆投下は日本を降伏させたのか、それとも民間人を使った核実験だったのか?

広島・長崎への原爆投下を「正しい決断だった」と断言した米共和党のリンゼー・グラハム上院議員に続き、米国高官らから「原爆が戦争を終わらせた」という見解が相次いで出されたことに対し、 日本の上川外相は「発言は不適切」として、米側に日本側の立場を申し入れた。
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ロシア科学アカデミー歴史研究所、軍事史センターのセルゲイ・キム上級研究員はスプートニクからの取材に、原爆投下と戦争終結の関係性については、2つの見方があると語っている。

「広島・長崎への原爆投下が戦争を終結させたかどうかについては、2つの見方がある。1つめの見解は主に米国人が抱いているもので、太平洋戦争を終結させたのは原爆投下だったというもの。要するに、『米国は軍事的優位性を示した。もし日本が抵抗を続けていたら、犠牲者はさらに増えていたであろうし、それは無益だった』という見解だ。これに対して、ソ連の研究者が唱えていた見解は異なり、『原爆投下は日本に軍事的に大規模な被害をもたらしたのではない。被害を受けたのは軍事目標ではなく、民間人だ』というものだ。米国にとっては、原爆投下は軍事的な意味はなく、実戦での核兵器のテストだった。

もちろん、原爆投下はその役割を果たした。これによって天皇は抵抗は無意味だと悟ったからだ。ところが、第二次世界大戦の観点からは見れば、太平洋戦争を終結に導いたのは、ソ連の対日参戦と関東軍の敗北だ。これは歴史をめぐる論議であり、いずれの説にも存在する権利があるが、現在の世界情勢とは何の関係もない。歴史上の出来事を今日の出来事、つまりイスラエルとパレスチナの紛争に当てはめようとするのは、日本の外務大臣が言ったように、実際に全く不適切だ。これが日米関係に影響を与えることはないだろうが、自分たちだけの地理的、政治的基準のなかで生きている多くの米国人は、こうした思慮に欠ける表現で日本人の感情を傷つけていることに気づいていないのだろう」

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