【視点】ウクライナ紛争で負けそうな西側は、中国に責任を押し付けている=朱建栄氏

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が16、17日、5期目就任後初の外遊先として中国を訪問。習近平国家主席と会談し、関係強化を確認した。
この記事をSputnikで読む
スプートニクは、プーチン大統領訪中の意義や成果、対米関係、地域・国際情勢に与える影響について、東洋学園大学・グローバル・コミュニケーション学部の朱建栄(しゅ・けんえい)客員教授 に話を聞いた。
スプートニク:プーチン大統領の訪中の目的は何ですか?なぜこのタイミングだったのでしょうか?
朱教授:プーチン大統領の再選就任後、初めての外遊先を中国にしたということは、中国の国際的地位を重視し、露中両国で今こそ世界に対して声を出す時だということ。同時に関係強化を進めるといった目的があると思います。
スプートニク:プーチン大統領の訪問は地域、国際社会におけるパワーバランスにどのような影響を与えるでしょうか?
朱教授 : 現在世界では「戦後の国際秩序」が崩れかけています。一部の国は国連の憲章をベースとした国際秩序を歪曲しています。それに対抗する意味で、「戦後の国際秩序」の強調と確認というのが第1です。次に米国がAUKUSなどの小さな集団を作り、自らの覇権を維持・拡張しようとする動きに明確な反対を表明しました。ロシアと中国は同盟関係ではありません。あくまでも国際的なルールや正義を、連帯して世界にアピールしたということです。単にお互いを守りあう、かばい合うということではなく、新しいことで合意して世界に向けて発信する。それが今回出た世界へのメッセージだと思います。
スプートニク:先月のブリンケン国務長官の訪中直後ですが、ロシア、中国、米国の3カ国の関係という点ではどうでしょうか?
朱教授 : ロシアとは長い国境で接しており、関係安定は長期的に重要です。そして両国とも米国の覇権主義を脅威に感じている。米国から見れば、中国とロシアがより接近するのを恐れている面はあると思います。ブリンケンが中国に軍民両用の技術や設備をロシアと共有しないよう言ったのは、ウクライナ紛争で西側が負けそうになっているからです。負けるから、責任は中国などに押し付けていると。米側が勝っていたら中国に何も言わないでしょう。そういう意味では中国とロシアの接近、今回のような協力を米国はかなり恐れています。両国は米国の覇権主義に反対するという点で一致していて、ロシアと中国は分業しながら対抗しているのです。
スプートニク:プーチン大統領の訪中の成果をどう捉えていますか?
朱教授:国際社会での協調以外に、両国関係の全面的な強化も注目点です。宇宙やAI、経済、地域協力など様々で、ちょうど今回プーチン大統領はハルビン市に行きました。中国とロシアが共同で管理しているダマンスキー島の開発も含め、今回の訪中を機に中露関係は多方面でますます進展すると思います。
コメント