オーストラリアの要求には、戦闘ヘリコプターや短魚雷の搭載、また防空能力、海と陸上への打撃能力などが含まれている。日本の艦船はこれらの要件を満たしている。だが、日本は大型防衛装備品を輸出した経験が少ない。
日本がこの入札を勝ち取る可能性はどの程度なのだろうか?また、これは日本の平和主義のイメージと矛盾しないのだろうか?ロシア科学アカデミー中国・現代アジア研究所日本研究センターの上級研究員オレグ・カザコフ氏がスプートニクの問いに答えた。
「日本は私たちの目の前で今、第二次世界大戦後数十年間にわたってその中に入っていた平和主義の『繭』から出つつある。日本をここまで追い込んだのは、アジア太平洋地域で強力な同盟国を必要とする米国であり、米国が自分たちを防衛すべきだと考えている日本ではないと思っている。また、日本は防衛体制構築に積極的に関わり、実質的に自衛隊に国際法でいう『軍隊』の地位を与え、国際的な軍事技術協力も行ってきている。今、日本が入札に勝つどうかについて語るのは意味がない。私たちはすべての情報を持っているわけではなく、この種の取引には常に機密条項があり、公表される可能性は低いからだ。だが、日本は国際貿易の経験が豊富で、高品質な製品に定評がある。また、すでに米国やフィリピン、その他の国々に防衛装備を提供した経験もある。2021年にはインドネシアもこのもがみ型護衛艦に関心を示している。つまり、日本にはこの件に関してはある程度の経験があり、日本の艦艇産業は必要な潜在能力を持っており、少なくともフリゲート艦クラスでは、近代的な艦船の迅速かつテンポ良い生産体制を作り上げることができる。オーストラリアが日本製の艦艇を使用することを決めた場合、これはオーストラリアとの軍事・防衛産業関係を強化し、日本の防衛産業を強化することになる」
カザコフ氏によれば、日本にとっては平和主義というテーマが議題から外れるわけではなく、日本はその平和主義のイメージと防衛装備の輸出との間に矛盾を感じていないという。
「日本は自国の領土を拡大したり、国際問題を武力で解決するつもりはないと言っている。なによりも日本国民は日本が国外での軍事行動に参加することを受け入れる準備ができていない。仮にそういうことになれば、そのときの政権の退陣は避けられないだろう。また日本は反核運動にも積極的に参加している。だが、日本はこのように真剣に武装を続け、他国とも協力するなど、自国の防衛力を強化するための措置を講じていくだろう」