【視点】「米国を刺激しないため」 広島県被団協理事長が語る、原爆で「米国」に触れない理由

米国議会で5月、「米国の広島と長崎への原爆投下が第二次世界大戦を終わらせた」との主張が上がったことに対し、佐久間氏は「原爆を落とさなくても、すでに日本の敗戦は明らかだというのがこれまでの見方。原爆を落とさなくても良かった 」と主張する。また、双方が歴史的不満をどのように解決すべきか、そして誰が実際に謝罪すべきかを説明した。
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「政府間の戦争であり、市民同士の戦争ではない」

佐久間氏は、米国政府が原爆投下について謝罪をするのかどうかについて、米国が核兵器を保有し使用する可能性がある以上、可能性は低いという。
今年3月、カトリック系の平和団体の関係者らが「原爆投下について直接謝罪したい」として広島を訪問し、被爆者6団体との対話集会が開かれた。団体は米政府に対しても謝罪するよう求めたが、佐久間氏らは「私たちではなくバイデン大統領に謝罪をするよう」求めたという。

「戦争というのは政府間同士のことですから、私たちはお互いに仲良くしたいというのはあります。しかし米国政府が原爆を落としたことは正しかったという点について、原爆は落とさなくてもすでに日本の敗戦は明らかだというような見方が大きいです。落とさなくても良かった原爆をあえて落としたとのは、オッペンハイマーの映画を見て思いましたが、第2次世界大戦後、米国が世界の中で指導的立場に立ちたいという優位性を示すためということもあるのではないかと思うんです。ですから、米国が真に世界の指導者になるためには、民主主義の国ですから、核兵器を持ってではなく、ちゃんと話をするという立場に立った外交努力をしてほしいと思っています」

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また佐久間氏は、対米意識の変化についても言及した。

「何回かNPT(核拡散防止条約)の再検討会議へ行った時に、『私たちは広島、長崎に対して原爆を投下したことについて、やはり謝罪しないといけませんか」という質問が出るんです。私たちは言うんですよ。『あなた方が謝罪するという問題ではないですよ。あなた方と私たちは仲良くしなければいけないです。政府に対してちゃんと謝罪する。そのためには、日本政府は日本の戦争をやったとか、間違ったということを米国政府に謝罪する。そういうところからお互いに始まるんではないですか』と。その辺の経過は少しずつ変わってくると思いますね。だから、いつまでたっても謝罪しないからどうこうではなく、友好関係は必要です。そういった意味で私が一番思うのは、核兵器が廃絶されるまでではなく、被爆者が生きている間には謝罪してほしいということで、その辺は変化してるんじゃないかと思うんです」

若い世代があの出来事を忘れてはならない

佐久間氏によると、原爆投下から来年で80年を迎えるが、世代によって原爆や戦争の捉え方に違いがあるという。

「当時のことを話にするのですが、今の若い世代は『戦争してはいけない』、『原爆を落としたらいけない』ということについて、身近に感じた戦争から学ぶことが多いです。私たちが生きている間、過去に日本で起きたことについてはちゃんと知ってもらいたいと話をしていますが、すべての人が理解しておられるかどうかは分かりません。しかし理解には年月がかかるものですから、それはそれとして伝えていく必要があります。これは人類史上の問題ですから、それを伝えていく必要があると私は思っています」

原爆を投下したのは米国であるという事実は大多数が理解している一方、いつ投下されたのかを知らない人もいるという。そのため、広島と長崎の資料館を訪れて、当時の状況を知ってほしいと語る。

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「これは私個人の考えですが、米国を出さないということは、やはり日本と米国の関係で米国を刺激しないというのが働いてるのではないかと思います。日本人は特にその辺が働くというか。事実は事実としてちゃんとすればいいのですが」

最後に、核廃絶運動を引き継いでいってくれる人はいるかと質問すると、佐久間氏は次のように答えた。

「いますし、そういう人たちを育成しようと思っています。それが私たちの役割だと思っています。どのぐらいいらっしゃるのか私自身もよく分かりません。しかし、核兵器を亡くさなければならないと思ってる人たちはかなりいます。それを伝えていくし、気づいていってほしいと思っています」

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