「政府間の戦争であり、市民同士の戦争ではない」
「戦争というのは政府間同士のことですから、私たちはお互いに仲良くしたいというのはあります。しかし米国政府が原爆を落としたことは正しかったという点について、原爆は落とさなくてもすでに日本の敗戦は明らかだというような見方が大きいです。落とさなくても良かった原爆をあえて落としたとのは、オッペンハイマーの映画を見て思いましたが、第2次世界大戦後、米国が世界の中で指導的立場に立ちたいという優位性を示すためということもあるのではないかと思うんです。ですから、米国が真に世界の指導者になるためには、民主主義の国ですから、核兵器を持ってではなく、ちゃんと話をするという立場に立った外交努力をしてほしいと思っています」
「何回かNPT(核拡散防止条約)の再検討会議へ行った時に、『私たちは広島、長崎に対して原爆を投下したことについて、やはり謝罪しないといけませんか」という質問が出るんです。私たちは言うんですよ。『あなた方が謝罪するという問題ではないですよ。あなた方と私たちは仲良くしなければいけないです。政府に対してちゃんと謝罪する。そのためには、日本政府は日本の戦争をやったとか、間違ったということを米国政府に謝罪する。そういうところからお互いに始まるんではないですか』と。その辺の経過は少しずつ変わってくると思いますね。だから、いつまでたっても謝罪しないからどうこうではなく、友好関係は必要です。そういった意味で私が一番思うのは、核兵器が廃絶されるまでではなく、被爆者が生きている間には謝罪してほしいということで、その辺は変化してるんじゃないかと思うんです」
若い世代があの出来事を忘れてはならない
「当時のことを話にするのですが、今の若い世代は『戦争してはいけない』、『原爆を落としたらいけない』ということについて、身近に感じた戦争から学ぶことが多いです。私たちが生きている間、過去に日本で起きたことについてはちゃんと知ってもらいたいと話をしていますが、すべての人が理解しておられるかどうかは分かりません。しかし理解には年月がかかるものですから、それはそれとして伝えていく必要があります。これは人類史上の問題ですから、それを伝えていく必要があると私は思っています」
広島資料館とG7サミットでの原爆展示で米国の記載がなかった理由
「これは私個人の考えですが、米国を出さないということは、やはり日本と米国の関係で米国を刺激しないというのが働いてるのではないかと思います。日本人は特にその辺が働くというか。事実は事実としてちゃんとすればいいのですが」
「いますし、そういう人たちを育成しようと思っています。それが私たちの役割だと思っています。どのぐらいいらっしゃるのか私自身もよく分かりません。しかし、核兵器を亡くさなければならないと思ってる人たちはかなりいます。それを伝えていくし、気づいていってほしいと思っています」