【視点】林氏の「ロシア渡航中止勧告」は政治的・心理的圧力=専門家

日本の外務省は国民に対し、どのような目的であれロシアへの渡航はやめるように勧告している。林芳正官房長官は29日の会見で、鈴木宗男参院議員のモスクワ訪問についての質問に答えたなかで、このことに触れている。
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表向きの説明は、外務省がロシアの危険度をレベル3(渡航中止勧告)以上に指定しており、邦人の安全への悪影響が懸念されるからということになっている。
だが、露大統領府のペスコフ報道官は「残念ながら日本の指導層は、異なる視点を持ち、ロシアとの関係確立を模索する人々に圧力をかけている」と、背景に露日関係の発展を望ましくないとする岸田政権の意向があると示唆した。
「ロシアを訪問するな」というのは、本当に自国民の安全への配慮からなのか、それとも他の理由があるのか?スプートニクは国際問題の専門家に尋ねた。

「日本の指導層はロシアで起こっていることに誤った考えを持っているし、日本政府はロシア政府とほとんど接触していない。自国民の安全に懸念を持つのは分かるが、それだけではない。西側諸国と連帯した立場がある。つまり、ロシアへの懲罰として接触は最小限にすべきだという考え。今回の林長官の発言は、自国民の安全への懸念というよりも、西側の対露制裁に同調し、ロシアとの接触を奨励しないという思惑によるものだと思う。ロシア側でも接触への関心が低下しているのは事実だが、早急に結論を出すべきでない。日本政府はこうした接触を禁止することはできないし、今後どのように両国間の接触を回復させるかを考える必要がある。だから、日本はロシア人に観光ビザを与えているし、日本人のロシア文化への関心は今でも保たれている。 よって、林長官の発言は一般国民に対するものではなく、自国の政治家に対する政治的・心理的な圧力であることは明らかなので、私は重要視しない」

アンドレイ・コルトゥノフ
ロシア国際問題評議会研究顧問

「これは完全に政治的宣伝であり、米国の指示で行われたとしても不思議ではない。日本の外交政策は今や米国に従属し、日本人自身がそれを口にしている。この訪露中止勧告は全く奇妙だ。鈴木氏がロシアに来たのは、日本の漁師のために露漁業庁から水産物の割り当てを得るためだ。これは日本人の国益のためではないのか?そして、危険性への言及も不可解だ。日本の世論はほぼ半世紀にわたって反ロシアに誘導されてきた。だから私はこの発言を世論への圧力とは言わない。ロシアに来たことのない一般的な日本人は、ロシアに対して表面的な印象しか持たず、ロシアは大きくて、理解しがたく、恐ろしいものだと認識している。だからこそ『おそロシア』という言葉が生まれたのだ。 もちろん、日本の知識人の間ではよりまともな見方をしている人もいるが、普通の日本人はステレオタイプを持っている」

アンドレイ・フェシュン
モスクワ大学付属アジア・アフリカ諸国大学副学長
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